『はるです はるのおおそうじ』
こいでたん 文
こいでやすこ 絵
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大掃除と言うと、やっぱり年末のイメージがありますよね。
綺麗さっぱりして新しい年を迎える。
心理的に大掃除に適した時期はやっぱり年末ですが、気候的に大掃除にぴったりなのは、案外気持ちのいい春の様な気がします。
窓を開け放っても寒くなく、むしろ心地いい小春日和が降り注ぐ。
花粉症の方はちょっと辛いかもしれませんが、ぽかぽかあたたかい気候の中で家中をスッキリさせると、気持ちも晴れやかになります。
よく年末に、季節の絵本コーナーで見かけますが、あの絵本も実は春先が舞台です。
冬眠から目覚めたぐりとぐらが、あまりの部屋の汚さに大掃除を始める...そんなお話です。
今日紹介させてもらう絵本も、大掃除の絵本。そして、春の絵本です。
こうして読むと、やっぱり大掃除は春が向いてるんじゃ?なんて思ってしまいます。
今日の絵本は、『はるです はるのおおそうじ』です。
あかいやねのちいさないえ。
ここに、3匹のねずみが住んでいます。
ぽかぽかあたたかい春の日。今日は大掃除の日です。
家の中のものを庭へ運び出し、早速大掃除に取り掛かります。
通りがかったりすの親子やうさぎ達は、庭に出された家具を気に入ります。
「よかったら どうぞ!」
気前のいいねずみ達は、その度にカーテンや椅子、テーブルをみんなに差し出します。
そうして大掃除が終わってみたら、何だか殺風景な部屋に。
テーブルがないのでとりあえず庭先でお茶を飲んでいたら、通りかかったあなぐまが、今度はこの家自体を気に入りました。
さすがに家はあげることはできません。
ところがあなぐまが取った行動は、何とも意外なものでした。
ついついみんなに家の物を差し出してしまうねずみ達の人の良さに思わず頬がゆるんでしまいます。
そしてその人の良さが周りの人を惹きつけ、あなぐまのアイディアもあり、いつしかこの家はみんなが集う素敵な場所になっていきます。
家の中のものがなくなり、一体どうするのだろう?というハラハラ感も味わえますが、全体的にあたたかな優しい雰囲気が流れているのは、やっぱりこれが春のあたたかな日差しの中での出来事だからでしょうね。
最近流行りの断捨離、ミニマリスト。
大掃除に断捨離は不可欠になっています。
わたし自身も断捨離をしたことがありますし、断捨離によって家の風通しが良くなったことも事実です。
あれもいらない、これもいらないとぽんぽん捨てていくと、「こんなにも不要なものに囲まれていたんだ」と驚くと同時に、世の中にいかに物が溢れているかを痛感させられました。
ねずみ達は、物を捨てません。
欲しいという動物たちにあげていきます。
うっかり必要なものまであげてしまうのですが、それも結局また自分たちで作ります。
物を減らすのがいいのではない。
捨ててまた買えばいい、というのは、根本が少し違ってくる様に思います。
捨てるものではなく、不必要になれば誰かに譲れる様な、そんなものを持ちたい。
ミニマリストになることが目的ではなく、自分に本当に必要なものを選べる目を持つ人になりたい。
そんなことも、この絵本を読みながらふと頭によぎりました。
さて、あなぐまのアイディアによりみんなが集う素敵な場所となったねずみ達のお家。
一体どんなアイディアだったのかは、是非絵本を読んでみて下さい。
わたしのこの絵本紹介は、これでおしまい。
チュウ。
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【237】『はるです はるのおおそうじ』
こいでたん 文
こいでやすこ 絵
福音館書店 1993/03
最後の「チュウ」、一体ayumiはどうした?と思われるかもしれませんが笑
これも是非、絵本を読んでみて確かめて下さいね。
昔話なんかも、こうした終わり方がよくあります。
物語と現実の世界の境目をしっかり作ってあげること。
そうすることで、例えばちょっと怖い昔話なんかも、子ども達は思う存分楽しめる様になります◡̈
160316
ayumi◡̈⃝