さんじのえほん。

3時のおやつみたいに、絵本が日々のちょっとした幸せに⋆* 2児の子育てをしながら絵本や子育てにまつわるあれこれをお話しています。マイホームは絵本ハウス。絵本に囲まれた暮らしを親子で楽しんでいます◡̈京都在住。絵本講師✎

『どうぶつのおかあさん』

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小森厚 文
籔内正幸 絵

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昨日は、家族で神戸どうぶつ王国へ遊びに行ってきました。

実際に動物に餌をあげられたり、触れ合い体験のできるとっても楽しい場所でした。

動物のすぐ側まで行くことができるので、動物大好きな息子も積極的に近寄ってよしよししたり、餌をあげたりしていました。

動物園で大きな動物を見るのも楽しいですが、こうした実際に触れ合える場所もまた、子どもにとっては格別なんだと感じました。

先日嵐山のモンキーパークに行った時も、赤ちゃん猿がおなかにぴたりとくっついたお母さん猿がいましたが、どうぶつ王国にも親子連れの動物が沢山いました。

動物たちもやっぱり、お母さんが大好きなんだなぁ。
そんなことを思うと、思い出すのがこの絵本。

表紙の真っ直ぐな犬のお母さんの目がとても印象的な1冊です。

様々な動物の親子の姿が描かれているこちら。

おかあさんねこは、こねこをくわえて運んだり。

おかあさん猿は、こどもをおなかにしっかりしがみつかせてはこんだり。

おかあさんこあらは、こどもをおぶってはこんだり。

それぞれの動物の親子の姿が、限りなく本物に忠実に描かれています。

また、背景が白なので、小さな子どもでもちゃんとそれぞれの動物に目がいきます。

藪内正幸さんの描く動物の絵は、天下一品。
リアルでいて、あたたかみもあります。

小森厚さんの文章も無駄がなく、耳に心地いい。

正に、子どもに読んであげるのに相応しい質の高い絵本だと思います。

そして、どの動物のお母さんも、子どもに対する慈愛に満ちています。
この絵本をお母さんに読んでもらった子どもは、お母さんの愛情をしっかりと感じることができると思います。

是非お子さんをお膝に抱っこしながら、愛情たっぷりで読んであげて欲しいと思います。


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【313】『どうぶつのおかあさん』
小森厚 文
籔内正幸 絵


160530
ayumi◡̈⃝




『ぼうし とったら』

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tupera tupera

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前回、前々回と渡り、tupera tuperaさんのしかけ絵本シリーズを紹介させていただきました。

ということで、本日は3冊目。
と比べて、少し趣向の違うこれまたとっても面白い絵本です。

タイトルは、『ぼうしとったら』。
何となく、面白さが想像できますよね。笑

おとこのこの ぼうし とったら...

おくさんの ぼうし とったら...

はかせの ぼうし とったら...

しかけと共にぼうしを取ってみたら、思いもよらない展開が待ち受けています。

ぼうしをぱかっと上にめくる仕掛けは、『やさいさん』と同じタイプです。

個人的にツボなのが、カウボーイとネコさん。

思わず吹き出してしまう様な展開や、ほのぼのするぼうしの中身もあります。

せっかくなので是非それは絵本をめくって堪能してもらいたいので、ここではネタバレは控えますが、お子さんから大人まで笑って楽しめる絵本です。

『やさいさん』『くだものさん』と比べたら、少し年齢の上のお子さんでも楽しめる絵本となっていると思います。

勿論、仕掛けも単純明快、繰り返しの絵本なので、小さなお子さんでも楽しめますよ。

「ぼうしとったら、何が出てくるだろう?」と想像しながら読むのも楽しいですし、少し大きくなったお子さんだと、他にどんな「ぼうしとったら」があるかお母さんと言い合いっこしながら遊んでも楽しそうだな、と思います。

tupera tuperaさんの絵本は、色もはっきりとしているので子どもの目に止まりやすく、単純に「面白い」ものが沢山あります。

これから梅雨の季節、お家で過ごす日が増えると思います。
是非こういった「面白く遊べる」絵本も取り入れながら、絵本の時間を楽しんでもらえたらと思います。


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【312】『ぼうし とったら』
tupera tupera


160529
ayumi◡̈⃝

『くだものさん』

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tupera tupera

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昨日紹介させてもらった、『やさいさん』 - さんじのえほん。
今日はそのくだものバージョンのこちらを紹介させて下さい。

果樹園にてくだものさん達がかくれんぼです。
『やさいさん』同様、簡単な仕掛け絵本となっています。

くだものさん
くだものさん
だあれ

繰り返されるこのリズムも、子ども達のワクワク感を引き出します。

『やさいさん』は土の中から出てくる仕掛けでしたが、『くだものさん』は木の上から落ちてくる仕掛け。
めくる方向が逆になっていますが、こちらの方がより小さいお子さんでもめくりやすいかな?と思います。

ももやみかん、栗や柿まで。
途中、くだものさんじゃないお友達が混じっているのもまた面白いです。

同じ果物を扱った絵本、『くだもの』とはまた違った魅力のあるくだものの絵本。

確かにひとつひとつの果物のみずみずしさや本物に忠実な絵、美しい日本語や細かい所まで子どもの成長発達に忠実な絵本...となると、やはり『くだもの』だと思います。

ですが、こうしたちょっとした仕掛けやリズム、面白さ、単純に親子で「楽しむこと」をメインとした絵本。
そんな絵本も、親子の読み聞かせの時間を明るく楽しくしてくれると思います。

子どもの心に寄り添った、栄養となる絵本。
単純に親子で楽しめる絵本。
バランス良く取り入れていけたらと思います。


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【311】『くだものさん』
tupera tupera


160528
ayumi◡̈⃝

『やさいさん』

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tupera tupera

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今日は幼稚園のイベントで、幼稚園の畑にて玉ねぎ抜きをしてきました。

潔癖な息子は土で手や足が汚れる度にぎゃー!でしたが笑 それでも大きな玉ねぎを抜いて、家で自分で剥いて自分で洗って...と、楽しそうでした。

玉ねぎはせっかくだから素材の味そのままを楽しもうと、玉ねぎソテーと玉ねぎサラダに。
ソテーは味付けも何もしていないのに、ほんとに甘くて美味しかった!
息子もペロリでした。
とれたて野菜、やっぱり格別です。

大人もそうですが、案外野菜がどんな風にして畑で育つのか、知らなかったりしますよね。
葉っぱだけ見てもなんの野菜かわからなかったり。

この絵本、そんな野菜の全容がわかる、楽しい仕掛け絵本になっています。

作者はtupera tuperaさん。
この絵本のデザインはTシャツにもなっているので、絵本は読んだことなくても見たことはある!という方も多いと思います。

野菜畑にて、野菜の収穫を始めます。

やさいさん やさいさん だあれ

すっぽーんと抜けるのは、じゃがいもや玉ねぎ、大根、さといもさんと、様々なお野菜達です。

葉っぱの部分をめくるとその野菜が出てくるという単純明快な仕掛けなので、小さなお子さんから楽しめます。

複雑な仕掛けではないので、めくるのを子どもにさせてあげてもいいですね。
ページをめくりたくて仕方ない!という年頃のお子さんにもオススメです。

大人も、「この野菜の葉っぱってこんな風になってたんだー」なんて新たな発見があったりもして、面白いです。

シリーズは3作あります。
またの機会に、他の絵本も紹介させて下さいね。

実際に畑仕事を体験したお子さんは是非、この絵本で追体験をしてみて下さい。

きっとより思い出に色濃く残ると思います。


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【310】『やさいさん』
tupera tupera


160527
ayumi◡̈⃝

『おむすびさんちのたうえのひ』

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かがくいひろし

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お散歩をしていたら、息子が田んぼに向かって、「雨降ったみたいねぇ」と言いました。
何かと思ったら、田に水が。そろそろこの田んぼも田植えなんだなぁと思い、「お米さんを植える準備をしてるんだよ」と話しました。

夜になるとカエルの鳴き声もよく聞くようになりました。そろそろ我が家の近くでも、田植えが始まる様です。

地元でもGW辺りから田植えが始まっていました。
田舎育ちのわたしは、田植えの景色は日常。田植えの時期になると、通学路に耕運機から落ちた土が沢山たまり、雨が降ると靴を汚して嫌だった記憶もあります。笑

これから息子と散歩の度に、田植えの進捗度をチェックするのが日課になりそうです。

そんな田植えを面白おかしく描いた絵本がこちら。
あたたかみのあるユーモアを描かせたらピカイチのかがくいひろしさんの1冊です。

今日はおむすびさんちの田植えの日。
おとうさんと子ども達が、朝ごはんを食べながら田植えの日の役割分担について話しています。

子ども達はおうちのこと。
おとうさんは、1日田植えです。

田んぼに着くと、近くの村から手伝いのみんなが来てくれています。
おむすびむらの具のしゃけさん、たらこさん、おかかさん、うめぼしさん、こんぶさん。
おいなりむらやすしねたむらからも助っ人が来てくれます。

「なんの なんの おたがいさまじゃ」

この一言が、村同士のつながりやあたたかい人情を感じさせてくれます。

おむすびやおいなりなどお米なしでは存在しない食べ物の具達が田植えをするというユーモアもまた、かがくいさんらしくてくすっと笑えます。

せっせと田植えをして、お昼をみんなで食べて、日が暮れるまで頑張って。

田植えで真っ黒、くたくたになったみんなは、おむすびさんの家でお風呂に入って疲れを癒します。

明日はおいなりさんちの田植え。
またみんなで、楽しく頑張りましょう。

この絵本のおむすびさんちには、お母さんが出てきません。お母さんの写真が飾られていることやお母さんが登場しないことから、どうやら父子家庭の様です。

それでも真っ直ぐ素直に育っている2人の子ども。おとうさんや周りの人にしっかり愛情を注いでもらっていることが伝わります。

核家族が進み、隣近所との付き合いが希薄になっている現代だからこそ、この絵本に描かれている「家族以外の繋がり」がとても羨ましく、尊く感じます。

地元の田植えも、家族は勿論、親戚やご近所で協力してやっている風景をよく見かけました。

いつまでもその風景が残ればいいな。そんな風に思います。

そしてこの絵本、きっとかがくいさんは、田植えの後の稲刈りも描きたかったんじゃないかなと想像します。
おむすびさんちの稲刈りの日。
きっとこんな風だよと、いつか子どもと一緒に話しながら、この絵本を読みたいと思います。


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【309】『おむすびさんちのたうえのひ』
かがくいひろし
PHP研究所 2007/05


160526
ayumi◡̈⃝

『あめふり くまのこ』

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鶴見正夫 詩
高見八重子 絵

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この季節になると、雨が続くと「そろそろ梅雨かな?」という気分になります。

梅雨の時期は本当に苦手です。
洗濯物は乾かないし、お外でも遊べないし、湿気でベタベタするし...。
と、マイナスなことばかりを考えても仕方ないので、毎年雨の絵本を楽しみとしています。

今年はまだ梅雨入りどころか、台風すら来ていませんが、そろそろ雨の絵本を用意していきたいと思っています。

この絵本も、そんな楽しい雨の絵本。
あの童謡、「あめふりくまのこ」が絵本になっています。

絵本の中身は「あめふりくまのこ」の歌詞そのもの。
歌いながらも読めますし、敢えて歌うことなくひとつのお話として読むこともできます。

全体的に淡いブルーの雨模様絵本。
でも、こうして見ると、新緑や紫陽花の色、雨の淡い色合いがとても綺麗です。

どうしても日常の雨はコンクリートの香りが鼻についてしまいグレーのイメージになってしまいますが、自然の中の雨は柔らかく淡い美しい色合いなのだと感じさせてくれます。

そんな自然の中の雨と戯れるくまのこ。
子ども達にも、このくまのこの様に自然の中の雨を感じさせてあげられたらと、そう思います。

今の時代、なかなか難しいんですけどね。
だからこそこういった絵本に助けられるのだと思います。

童謡にはないお母さんとのシーンも、この絵本には描かれています。
そこがまた素敵だと感じます。

梅雨入りしてどんより気分になった時は、是非親子でこの絵本を読みながら、歌いながら、楽しんでみて下さい。


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【308】『あめふり くまのこ』
鶴見正夫 詩
高見八重子 絵
ひさかたチャイルド 2009/05


160525
ayumi◡̈⃝


『くれよんの くろくん』

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『くれよんの くろくん』
なかや みわ

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今日は児童館のイベントで、フィンガーペイントをしました。

壁画に思いっきり水彩絵の具を手のひらにつけて、ばしばし!笑
先生達が可愛く描いて下さった下絵のうさぎさんやくまさんは一瞬で何とも芸術的な色合いへと変貌を遂げましたが笑 色と色を混ぜるとまた色が変わることや、自分の手のひらが筆になる楽しさが味わえたみたいで良かったです。

お家ではなかなかこれだけ豪快に絵の具遊びをさせてあげられないので、貴重な経験ができたと思います。

色と色が合わさって、また違った色ができる。
どんな色にもその意味はあって、無駄な色なんかないんだよ。

そんな風に優しく感じられる絵本がこちら。
大人気、くれよんのくろくんシリーズの1冊目です。

新品のクレヨン達。
退屈になったみんなは、真っ白い画用紙を見つけて思い思いに絵を描き始めます。

きいろくんがちょうを描いたら、あかさんとピンクちゃんがお花を描いてくれます。
みどりくんと、きみどりさんが葉っぱを描いて、ちゃいろくんとおうどいろくんが木を描いて...そうやってどんどん素敵な作品が出来上がってきましたが、くろくんの出番がありません。

みんなもくろくんにせっかくの作品を黒くされたら嫌だと言います。

悲しくなったくろくん。
そんなくろくんに、シャープペンのおにいさんがこっそりいいことを教えてくれます。

くれよん達は、それぞれ個性を持っています。
明るい色、爽やかな色、どっしりとした色、鮮やかな色。
それぞれに得て不得手もあり、どれも必要な色です。

子ども達も一緒。
運動が得意な子、お絵描きが得意な子、優しい子、元気な子...それもみんな個性です。

読者の子ども達は、少なからずくろくんに共感を覚える点があると思います。
くろくんにしかできないことがある。
くろくんがいたからこそ、最後にとても素敵な作品が完成します。

「自分はそのままの自分でいいんだ」
そんな自己肯定感を感じることができると思います。

このお話をしっかりと理解できるのは3.4歳くらいからだと思います。
幼稚園などで集団生活がスタートした子ども達にも、勇気を与えてくれる絵本でもあります。
それまでは沢山の色が出てくる楽しさをただ味わってもいいかと思います。

なかやみわさんの可愛らしいくれよんたち。
子ども達も大好きな1冊です。


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【307】『くれよんの くろくん』
なかやみわ
童心社 2001/10


160524
ayumi◡̈⃝