『きいろいのは ちょうちょ』

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「仕掛け絵本」って、個人的にとても難しい分野だと思っています。
例えば仕掛けが細かく開くと立体的に浮かび上がる芸術作品の様な絵本は、とても素晴らしいけれど小さな子向けではないです。
でも小さな子向けの仕掛け絵本の中には、ただ単に仕掛けを作ったことで子どもの手を伸ばしやすくしているだけの、おもちゃに近い絵本もあります。
なかなかその線引きが難しく、どんな仕掛けならいいのか、絵本として子どもと楽しめるのか、いつも仕掛け絵本を見ながら「うーん」と考えています。
良質な仕掛け絵本に欠かせないのは、何といってもストーリーがしっかりとあること。
仕掛けがあるからこそのストーリー展開の面白さ。そういったものがしっかりとあることが大切になると思います。
逆に、わざわざこれを仕掛けにする必要があったのか?と思う様なものは、どちらかと言えばおもちゃに近い様な気がします。
この絵本も仕掛け絵本ですが、大人でも「おぉ!」となる様な面白い仕掛けが施されています。
男の子がちょうちょを探しています。
「きいろいのは ちょうちょ......」と、きいろいちょうちょを見つけては網で捕えるのですが、ページをめくるとそれは「黄色いボール」だったり、「黄色いヘルメット」だったりと、勘違いばかり!
ちょうちょの形ときいろが上手く融合されていて、ページをめくるのに「これは本当は何なんだろう?」とドキドキワクワクできます。
様々なハプニングを生み出していくのですが、最後は「きいろいのは ちょうちょじゃない」と諦める男の子。
お家で美味しいご飯を食べて満足です。
果たして最後のきいろいのは、何だったんでしょう?
五味さんらしい、パンチの効いたストーリーです。
仕掛けがあればこその面白さ。
子どもの想像力を引き立てるストーリー展開。
間違いなく良質な仕掛け絵本だと思います。
仕掛け絵本は大人も楽しめる、素敵なジャンルでもあります。
なかなか集中して絵本を読めない子どもにとっては、良質な仕掛け絵本は様々な絵本への入り口ともなると思います。
あくまでもおもちゃではなく絵本として親も子も楽しめる仕掛け絵本。
そんな絵本を、これからも探していきたいと思います。
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【270】『きいろいのは ちょうちょ』
偕成社 1983/04
160417
ayumi◡̈⃝