『わたしのワンピース』
『わたしのワンピース 』
西巻茅子
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「男の子だから」「女の子だから」。よく聞く言葉です。
勿論男女の差はあって、男の子に向いているもの、女の子に向いているものは確実にあると思います。
でも絵本の世界で言えば、「男の子だから」「女の子だから」は関係なく、好きなものを楽しんでもらいたいと思います。
例えば乗り物絵本。
特に男の子に人気で、男の子がはまることが多いですが、女の子が読んだって勿論いいんです。
良質な乗り物絵本は、男女関係なく楽しめるように工夫されています。
そしてこの絵本も、どちらかと言えば「女の子の絵本」と言われがちです。
でもこの春の季節には、是非男女関係なく楽しんでもらいたい1冊です。
うさぎさんが、カタコトミシンを使って真っ白のワンピースを作ります。
ラララン ロロロン
わたしに にあうかしら
ワンピースを着てお花畑へ行くと、真っ白のワンピースがお花柄に!
次々と模様を変えるワンピース。
ファンタジーの世界の入り口に、とてもぴったりな絵本です。
ワンピースとうさぎという乙女心をくすぐる題材にどうしても男の子向けには思われにくい絵本ですが、次々と変化するワンピースや、「
ラララン ロロロン」という楽しいフレーズ、なかなかインパクトのあるラストの展開は、男の子も十分楽しませてくれます。
ファンタジーはとても難しい世界観だと言われます。
特に良質なファンタジーをしっかりと厳選してあげないと、子どもはなかなかその世界へと入り込めないとも言われます。
この絵本は、正に良質なファンタジー。
こういった絵本を幼い頃から楽しんできた子どもは、自然とファンタジーの世界の楽しさを見分ける眼を持てると思います。
実はわたしは、絵本に出会うまでファンタジーは苦手でした。
振り返ってみると、子どもの頃素敵なファンタジーを楽しんだ記憶がありませんでした。
いかに子ども時代に出会うお話が大事かを痛感したのです。
良質なファンタジーは、子どもの世界をぐんと広げてくれます。
想像力も無限に広がります。
是非男女問わず、このすてきなワンピースのお話を小さな頃から楽しんでもらいたいなと、そう思います。
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【269】『わたしのワンピース』
西巻茅子
こぐま社 1969/12
160416
ayumi◡̈⃝