『ねんころりん』

『ねんころりん 』
ジョン・バーニンガム 作
谷川俊太郎 訳
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先日「おやすみなさいの絵本」を紹介しましたが、今日はこんな「おやすみなさいの絵本」を。
ジョン・バーニンガムの作品を、谷川俊太郎さんが訳されています。
ねこのかあさん こねこをつれて
つかれたあしをひきずっている
どこかいいとこ ないものか
みんなねむいよ
ねんころりん
こんなリズム感の良い言葉が続きます。
さすが谷川さん。素敵な詩の世界観を確立しています。
どのシーンにも深い意味はないようでいて、それでもどこか夢へ向かう足取りを連想させる様で、谷川さんの言葉とバーニンガムの絵がふわふわと眠りへと誘ってくれます。
眠りにつく前のみんなはとても疲れています。
1日頑張ったね。
沢山遊んだね。笑ったね。
沢山泣いて、悔しい思いもしたね。
そんな風に、1日をゆっくりと振り返ることができます。
もうくたびれた
よこになりたい
もうすぐよるだよ ねるじかん
そんな言葉が、1日の疲れを表しています。
でも次に続く言葉が光を射してくれる。
あさがきたら
もういちどおきる
あしたはまっさらあたらしい
新しい明日へ向かって、ゆっくりと眠りにつく。
疲れていたみんなは、次々とあたたかく幸せな寝床を見つけ、安心して眠っていきます。
前半で眠れなかったみんながすやすやと眠っている姿は、読者も安心させてくれるでしょう。
だれかさんもおふとんのなか
あしのさきまでほっかほか
かぜもあめもここまでこない
あたまをゆったりまくらにのせて
もうすぐねむりの
くにのなか
ねんころりん
ねんころりん
ころりん
まるで呪文の様な優しい言葉は、眠りにつく子どもをゆっくりと夢の世界へ案内してくれると思います。
1日を振り返ると、辛いことも苦しいことも沢山あった。
でも、優しい眠りは明日への希望です。
誰かのあたたかさに包まれて眠る先は、新しい明日。
1人でも多くの子ども達が、あたたかい誰かの腕の中で、希望に満ちた明日を思い描けます様に。
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【268】『ねんころりん』
ジョン・バーニンガム 作
谷川俊太郎 訳
ほるぷ出版 2001/06
被災された方々が、1日でも早く安心して眠れる夜が来ます様に。
160415
ayumi