『クリスマス』

バーバラ・クーニ 作
安藤紀子 訳
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12月はクリスマス絵本を色々と紹介させてもらっていますが、そもそもクリスマスとはどんな行事なのか、その由来をきちんと説明できる大人は日本にはどれくらいいるでしょうか?
恥ずかしながらわたしも、子どもが生まれるまではクリスマスはケーキ食べてイルミネーション見てプレゼント交換して!というキラキラした楽しいイベント、というイメージしかなく、勿論キリスト教の行事ということは知っていましたが、それがキリスト教にとってどれだけ大切な日なのかは殆ど無知と言ってもいい程でした。
子どもが生まれ、改めて日本の行事に関心を寄せると共に、日本でも定番化している外国の行事についても、その由来や起源を調べる様になりました。
特にクリスマスは、元々この季節やイベントが好きだったこと、多くのクリスマス絵本に惹かれたことから、より深く知る様になりました。
クリスマスについて書かれている文献や本も数多くありますが、クリスマス絵本もかなりの数あります。
その中で、やっぱり素通りできないのは、そもそもクリスマスとは何なのか、という由来、歴史を描いたものです。
クリスマスの背景を描いた絵本は、簡単なものから本格的なものまで様々ですが、今日は恐らく1番新しいものを紹介させていただきたいと思います。
今年の11月に発売されたばかりの新刊です。
と言っても、2007年に他の出版社から発行されているものを、出版社の倒産により改めて別の出版社から発行されたものになります。
ですので、もしかしたら以前からご存知の方もいらっしゃるかもしれません。
クリスマスについて、わかりやすく具体的に、美しい挿絵と共に描かれているこの絵本。
今日の絵本は、『クリスマス』です。
クリスマスとは、イエス・キリストの誕生日です。12月25日は、イエスの誕生日を祝う日になります。
これらについてもとてもわかりやすく、述べられています。
また、クリスマスをお祝いするお祭りや、今は「サンタクロース」として定着している聖ニコラウスについて、クリスマスの動物の役割など、この絵本1冊に様々なクリスマスの背景が詰まっています。
何より素晴らしいのが、やっぱりクーニーの挿絵でしょう。
クリスマスの雰囲気にとても合っているクーニーの挿絵があるからこそ、文章だけ読めば少し難しく感じる内容でも、すっと入ってきてくれます。
とは言え、文章量は絵本というより読み物に近いくらいありますし、内容もしっかりとクリスマスの歴史、背景について述べられているので、小さなお子さんには難しいと思います。
どちらかと言えば大人の方向けの絵本かな?と思います。
ですが、クーニーの挿絵も絵本の内容もとても素晴らしいものなので、ある程度大きくなったお子さんで、クリスマスの背景を他の絵本などから少しでも知っている様であれば、お母さんと一緒に少しずつ読んでみて下さい。
例えば、ブルーナの『クリスマスって なあに』やジョーン・G・ロビンソンの『クリスマスってなあに?』などを読んできたお子さんなら、この絵本を読むと繋がる所もあるので、更にクリスマスを深く知ることができると思います。
個人的にはまずは大人が、こういった絵本を通してクリスマスについて知り、少しずつわかりやすい様に子どもに語ってあげる...その際に、子どもにもわかりやすく簡単に書かれてある上に挙げた様なクリスマスの絵本を一緒に読んでみるのが良いと思います。
ただでさえ外国の宗教や歴史が絡んだ行事なので、大人でもその全容をしっかりと理解するのは難しいです。
小さな子どもなら尚更難しいでしょう。
でも、大人が知っているのと知らないのとでは全然違うと思います。
ただ単に華やかで、プレゼントをもらえる楽しいイベントとしてだけではなく、誰かのことを想う気持ち、クリスマスの精神を、日本の子ども達にも伝えていけたらな、と思います。
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【144】『クリスマス』
バーバラ・クーニ 作
安藤紀子 訳
ロクリン社 2015/11
上に、この絵本は以前は違う出版社から出ていた...と書きましたが、その会社はこの夏、経営破綻してしまったそうです。
『こびとづかん』をご存知の方も多いと思いますが、その出版社から発行されていました。
今は『こびとづかん』も『クリスマス』同様、ロクリン社にしっかりと引き継がれて発行、展開しているそうです。
出版業界は厳しい世界です。
特に絵本や児童書は、長く息を続けることが難しいジャンルでもあります。
出版社の倒産により泣く泣く絶版となってしまっている素敵な絵本も数多くあります。
この『クリスマス』の様に、それらの絵本も新しい形でまた子ども達の手元に届く事を、願います。
151215
ayumi◡̈⃝