『うさぎのニコラス』
『うさぎのニコラス 』
リチャード・スキャリー 絵
オーレ・リソム 作
木坂涼 訳
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本屋さんに行くと必ず新刊コーナーはチェックするのですが、絵本の新刊コーナーで「これは!」というものに出会えるのは実はそんなに多くなく。
だからこそ「これは!」というものに出会えた時はとっても嬉しいのですが、先日その「これは!」に出会いました。
しかも、一気に2冊も!
ということで、今日はその内の1冊を紹介させて下さい。
梅雨の時期にはぴったりの表紙の『うさぎのニコラス』。
ハードカバーの洋書絵本で見かけたことがありましたが、翻訳された様です。(以前シリーズもので翻訳されていた気がしますが...恐らく今は絶版です)
うさぎのニコラスは、大きな木の「うろ」に住んでいます。
春には花や蝶々と戯れて、夏には虫やカエル達を眺めて過ごします。
雨が降ればきのこの傘で雨宿り。
たくさんの落ち葉が舞う秋や、雪の便りが届く冬。自然の中でその時その時の楽しみを見つけながら暮らすニコラスの姿が描かれています。
小さなサイズですが、縦に長い仕様は目一杯描かれた美しい自然を際立たせます。
春夏秋冬、それぞれの魅力をニコラスと共に感じることができると思います。
何と言っても、その絵や色遣いの美しさ!
リチャード・スキャリーは『あかちゃんうさぎとパパ』という素敵な絵本も描いていますが、それもとても美しい絵が魅力的です。
絵本は小さな芸術作品。
子どもが初めて触れる美術作品でもあります。
是非小さな内からこういった「美しい」作品も、子ども達に親しんでもらいたいと思います。
新刊絵本ですが、是非とも長く長く愛されて欲しい1冊です。
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【327】『うさぎのニコラス』
リチャード・スキャリー 絵
オーレ・リソム 作
木坂涼 訳
好学社 2016/06
160613
ayumi◡̈⃝
『どんな いろが すき』
『どんな いろが すき』
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歌絵本というジャンルの中には、様々な形の絵本があります。
歌の一部が絵本に描かれているものや、1曲1曲載っているもの、歌がまるっとそのまま絵本になっているもの。
特に歌が1曲そのまま絵本になっているものは、歌いながら1冊読み切れて、絵本に慣れていないお子さんでもすんなり絵本の世界へと入っていけます。
わたしも息子も歌絵本は大好きで様々な歌絵本を読んできましたが、この絵本が発売された時は、「そういえばこの歌、絵本になってなかった!」とちょっと意外だった1冊がこちら。
「どんないろがすき」は、お母さん達も子どもの頃に歌った記憶があるんじゃないかと思います。
そんな歌が、まるっと絵本になりました。
「あか!」や「きいろ!」と、掛け声の所はお子さんに読んでもらっても盛り上がります。
絵は100%ORANGEさんが。
100%ORANGEさんらしい可愛らしさは残しつつ、小さなお子さんにもわかりやすいようなぱきっとした線や色遣いが新鮮です。
角が丸いボードブックで、更にサイズ感も手のひらサイズよりは少し大きめくらいのものなので、これも小さなお子さんに優しいものになっています。
色が少しずつわかるようになってきたお子さんにもオススメですし、自分の好きな色がわかっていたり、お絵描きが楽しめる様になってきたお兄ちゃんお姉ちゃんでも十分楽しめる1冊です。
曲自体はわかる方が多いとは思いますが、裏表紙には楽譜も付いているので安心ですね。
今年の4月に発売されたばかりですが、人気だったからか、元々部数が少なかったからなのか、とても品薄だったこちら。
わたしも本屋さんでは巡り会えずに、ネットで予約してようやく手に入りました。
絵本は出版されたとしてもすぐに絶版になってしまいやすいジャンルです。
わたしもチャンスを逃して手に入らなくなってしまった絵本が多数あります。
だからこそ、絵本は一期一会。
出会った時はその時だと、お気に入りのものは是非お迎えしてあげて下さいね。
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【326】『どんな いろが すき』
100%ORANGE 絵
フレーベル館 2016/04
160612
ayumi◡̈⃝
『うんちが ぽとん』
『うんちがぽとん―おむつにさよなら!…のおはなし (まあくんのバイバイあかちゃんシリーズ 1) 』
アロナ・フランケル 文・絵
さくまゆみこ 訳
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我が家の息子さん、現在ゆるーくトイトレをしております。
ですが、慢性便秘症の息子、トイレに連れて行くと頑なに嫌がり、益々便秘が酷くなるので、本当に無理強いせずにゆっくりと進めています。
ですので、きっとこの夏にはオムツは外れないでしょうし、幼稚園に間に合うか...と考えても怪しい雲行きです。
でもこればっかりは、わたしが焦っても仕方がない。
便秘でよくわかりましたが、こちらがいくら「うんちしなきゃ!」「出して!」と言っても、出ないものは出ないんです。
食生活を改善し、様々な工夫もし、生活リズムを整え...少しずつ少しずつ改善していくしかない。
トイトレも同じで、いきなり「トイレで出して!」なんて言っても、産まれてから今の今までオムツで出すのが当たり前だったのに、子どもからしたら「なんで!」ですよね。
オムツは大人の都合。
幼稚園までに外して欲しいというのも、大人の都合。
勿論、集団生活で1人だけオムツで恥ずかしい思いをさせたくない...という気持ちもありますが、でもこればっかりは、本人のタイミングを尊重しなければと思います。
ですので、わたしは個人的に、トイトレを扱った絵本が苦手です。
トイレは楽しい場所だよ!と子どもに伝えるものや、お友達がみんなトイレでうんちやおしっこをしているね、なんて一見楽しそうな絵本も沢山あるのですが、どうしてもその背景の「さぁ、だからあなたもトイレで出来るようになろうね!」という大人の気持ちが透けて見えてしまい...。笑
勿論、こういった絵本がトイトレの手助けになる場合もありますし、お母さんも子どももこうした絵本で楽しくトイトレができるのはとてもいいことだと思います。
ですが、こうした絵本が実際にトイトレに役立ったり、子どもが心から楽しめるには、前提として必ず「親子で絵本を楽しむ時間」が既に確立されていることが必要だと思います。
普段は絵本なんか読まないのに、いざトイトレ!となった時に「さぁ、この絵本を読もうね」なんて言っても、子どもからしたら親の魂胆が見え見えで楽しむどころではありません。笑
普段の絵本の時間、親子の時間が確立されていて、「絵本をお母さんと読む時間」の楽しさを知っている子どもだからこそ、こうした絵本が苦手を克服するきっかけになるのだと思います。
普段の楽しい時間を知っているからこそ、こうした所謂「しつけ絵本」の様な絵本の内容は、しっかりと吟味する必要があると思います。
安易に考えて読んでしまっては、せっかく子どもと楽しんでいた絵本の時間が、押し付けがましいものになってしまうから。
ということで、トイトレの絵本があまり好きではないわたしですが、そんな中でも大好きな1冊があります。
それが、こちら。
まあくんは産まれてからずっと、おむつでうんちとおしっこをしています。
汚れたおむつはお母さんが、愛情たっぷりに綺麗にしてくれます。
そんなある日、おばあさんから大きなプレゼントが届きました。
花瓶かな?ミルク壺かな?
いえいえ、これはおまるです。
まあくんは早速おまるでうんちを試みますが、なかなか出ない。
と思ったら、おまるから立ち上がると出てしまったり。
ところがある日、まあくんはなんだかうんちが出そうな、そんな気がして...。
トイトレの絵本と捉えたら、そうだと思います。
ですが、この絵本は変に「トイレは楽しいところだよ!」や「みんなトイレでうんちをするんだよ!」みたいな、まるでトイレをテーマパークの様に扱っている不自然さは全くなく、単純に、生まれた時はおむつでうんちをしていたけど、次はおまるでするんだね、ということが描かれているだけです。
その中で、布おむつをお母さんが丁寧に外して綺麗にしてくれるあたたかさや、うんちがおまるで初めてできた喜びをお母さんと共有する幸せが伝わってきます。
それらは「トイトレが成功して嬉しい」といったものではなく、単純に親子のあたたかな絆、幸せな日常の一コマにすぎません。
おむつからトイレへ。
排泄の場を変えていく過程は、日常の一コマです。
いついつまでに!なんて焦らなくても、「でたかな?まだまだ」と繰り返しているうちに、いつかは必ず「でた!」となります。
この絵本を通して、息子にトイトレができる様になって欲しいとは思っていません。
「でた!」の喜びをいつかこの絵本の様に、息子と共有できる日を楽しみに待とうと思います。
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【325】『うんちが ぽとん』
アロナ・フランケル 絵・文
さくまゆみこ 訳
アリス館
160611
ayumi◡̈⃝
『ぴょーん』
まつおかたつひで
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今月は雨の絵本と一緒に、この季節ならではのかえるの絵本も色々と紹介していきたいと思っています。
これを書いている今も、窓の外からゲコゲコとかえるの鳴き声が。笑
小さなお子さんから楽しめるかえるの絵本と言えば、まず間違いないのがこちら。
図書館の読み聞かせなどで、大型絵本で読んでもらったことがある方も多いと思います。
一般書店で売られているのは、この小さなタイプの絵本。
ですが、中身はとってもダイナミックです。
縦に開いて読むこの絵本。
かえるが ぴょーん!
ねこも ぴょーん!
いぬも ぴょーん!
かたつむりも?さかなも?
みんながぴょーん!と飛び跳ねます。
読む時に子どもを高い高いしたらとっても喜びますし、中には飛べないものも出てくるので、期待を裏切られるのもまた楽しいです。
正に体験型絵本。
自分でジャンプできるお子さんは読みながらジャンプして楽しめますし、サイズの小さな絵本なので、読み手も一緒に飛び跳ねても楽しい。
まだ地力でジャンプできない赤ちゃんには読みながら高い高いはできないので、誰かに読んでもらわないとその楽しみ方ができないのが難点です。
ですが、読みながら絵本を上下に動かして飛んでいるのを感じさせることはできます。
これもまた、このサイズ感だからこそやりやすい遊び方です。
最後はかえるが絵本の外へぴょんぴょんと跳ねて出て行っています。
是非そこまでお子さんにしっかりと見せてあげて下さいね。
とっても単純でシンプルな絵本ですが、多人数では勿論、家庭でも身体を動かして楽しめる、今の時期にもぴったりの1冊です。
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【324】『ぴょーん』
まつおかたつひで
ポプラ社 2000/06
160610
ayumi◡̈⃝
『おうちなのね』
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雨が続くとおうち遊びが定番になってきます。
ここぞとばかりに、普段は夜しかする時間のないアナログゲームや積み木遊び、おままごとを楽しむ息子。
積み木やゲームなど何かおもちゃを使って遊ぶことも楽しいですが、ふとした時に息子の空想の世界に迷い込むのもまた楽しいです。笑
何もない場所をお店にみたてて買い物を始めたり、レールのない場所がいつの間にか新幹線のレールとなっていたり。
おうち遊びのネタがなくなってくると思っているのは、実は大人だけかもしれません。
何もない場所から何かを生み出す力は、子どもの方が優れているのでしょうね。
この絵本もそんな「おうち遊び」の楽しさが可愛らしく描かれています。
「おうちなのね」のリズムがまた愛らしい。
架空のおうちから出て行くと、雨や雷という展開も、今の季節にぴったりな気がします。
100%ORANGEさんのFirst Book Seriesの内の1冊。
このシリーズは、赤ちゃんには勿論、少し大きくなって想像の世界を楽しめるようになったお子さんにもとってもオススメです。
100%ORANGEさんのデザインが、大人の女性の心もくすぐります。
雨の日、いつものおうち遊びに少し飽きてきたら、この絵本を開いてそれぞれの「おうちごっこ」をして楽しんでみて下さい。
少しだけ、雨の日が楽しくなりそうです。
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【323】『おうちなのね』
100%ORANGE
ブロンズ新社 2004/09
160609
ayumi◡̈⃝
『みずたまり』
『みずたまり 』
殿内真帆
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梅雨の季節。
雨のやみ間にお散歩をすると、みずたまりと出会います。
子どもはつい、バチャバチャとやりがちですし、それこそが子どもらしい行動でもあり楽しそうに見えます。
でもたまに、そんなみずたまりをじっとのぞいている子にも出会います。
何かいるのかな?そう思って見ても、それはただのみずたまり。
でも子ども達はもしかしたら、みずたまりとそっと会話をしているのかとしれません。
そんな子どもの姿を描いた、素敵な絵本に出会いました。
雨上がり、ふくちゃんが外へ出てみると、大きなみずたまりができていました。
勿論バシャバシャと入ります。が、突然みずたまりから声をかけられてしまいます。
「おいおい、しずかにしておくれ。ここから いろんな ものを みてるんだ」
何が見えるのか尋ねるふくちゃん。
みずたまりは、毎日そこから見える景色を教えてくれます。
なないろのにじ、飛行機、あめんぼを見る子どもや鳥たち、たまに葉っぱに邪魔をされたり。
でも日を追うごとに、みずたまりは小さくなっていき、見える景色も少なくなっていきます...。
「みずたまり」を扱った絵本は沢山ありますが、その多くはそこに飛び込む子どもの楽しさを描いたものです。
ですがこの絵本は、みずたまりそのものの視線が描かれています。
雨が降ったらみずたまりができる。
でもそのみずたまりは、いつの間にか消えてなくなってしまう。
その頃には太陽が顔を出していて、みずたまりがあったことなんてすっかり忘れてしまっています。
雨が降り、みずたまりができ、そして消えていく。
そのシンプルでもあり、ちょっぴり切なくもある過程を、繰り返しの展開と同一場面で子どもにもわかりやすく描いてくれています。
梅雨の時期、晴れ間はとてもありがたく嬉しいです。
ですがこの絵本を読むと、「早くまた、みずたまりに会いたいな」、そんな風に思ってしまいます。
福音館書店さんから刊行されている『とけいのあおくん』が人気の殿内さんの新刊です。
『とけいのあおくん』もそのちょっぴりレトロでおしゃれな雰囲気が大人の方にも人気の作品ですが、この絵本もまた、大人の方も楽しめるものとなっています。
お子さんと楽しむのもよし。
憂鬱な雨の日を過ごす大人が読んでもまたよし。
是非この優しい世界観を楽しんでみて下さい。
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【322】『みずたまり』
殿内真帆
フレーベル館 2016/05
160608
ayumi◡̈⃝
『ねずみさんのながいパン』
多田ヒロシ
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お買い物ごっこがブームの息子。
ちっちゃいぐりとぐらの鞄を持って、中には相棒のファミちゃんと何故かミニサイズの絵本を入れて、「お買い物行ってくるね〜♩」と。
そんな彼の後をそっと目で追ってみると、廊下に出て何やら1人あれこれ空中に手を伸ばし、帰って来る。笑
何を買ったのかを聞くと、大抵は「パン!」です。笑
かあさんはクロワッサン、とうさんはデニッシュ、そして自分は大好きなドーナツ。
パン屋さんが大好きな息子らしいお買い物です。
そんな息子、この絵本もやっぱりお気に入り。
ねずみさんが長いパンを持って、とっとこ とっとこ走ります。
どこに いくのかな。
このうちかな?
そこは様々な動物たちのお家。
家の外観から、どんな動物なのか予測できるようになっています。
お家ではみんな、もうご飯を食べています。
ねずみさんは急いでどこに向かっているのでしょう。
繰り返しの展開はわかりやすく、子ども達を自然と惹きつけ、途中のちょっとしたアクシデントもハラハラドキドキと楽しませてくれます。
また、家族揃ってご飯を食べる幸せも感じることができます。
そしてこの絵本は、是非読み終わったら表紙と裏表紙を一緒に開いて見てみて下さいね。
ねずみさんが行っていた場所がどこなのか、裏表紙にちゃんと描かれています。
そんなことを発見するのもまた、絵本の楽しみのひとつですよね。
ねずみさんシリーズは他にもありますが、小さなお子さんだとこちらがオススメかな?と思います。
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【321】『ねずみさんのながいパン』
多田ヒロシ
こぐま社 2000/06
160607
ayumi◡̈⃝