『うんちが ぽとん』
『うんちがぽとん―おむつにさよなら!…のおはなし (まあくんのバイバイあかちゃんシリーズ 1) 』
アロナ・フランケル 文・絵
さくまゆみこ 訳
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我が家の息子さん、現在ゆるーくトイトレをしております。
ですが、慢性便秘症の息子、トイレに連れて行くと頑なに嫌がり、益々便秘が酷くなるので、本当に無理強いせずにゆっくりと進めています。
ですので、きっとこの夏にはオムツは外れないでしょうし、幼稚園に間に合うか...と考えても怪しい雲行きです。
でもこればっかりは、わたしが焦っても仕方がない。
便秘でよくわかりましたが、こちらがいくら「うんちしなきゃ!」「出して!」と言っても、出ないものは出ないんです。
食生活を改善し、様々な工夫もし、生活リズムを整え...少しずつ少しずつ改善していくしかない。
トイトレも同じで、いきなり「トイレで出して!」なんて言っても、産まれてから今の今までオムツで出すのが当たり前だったのに、子どもからしたら「なんで!」ですよね。
オムツは大人の都合。
幼稚園までに外して欲しいというのも、大人の都合。
勿論、集団生活で1人だけオムツで恥ずかしい思いをさせたくない...という気持ちもありますが、でもこればっかりは、本人のタイミングを尊重しなければと思います。
ですので、わたしは個人的に、トイトレを扱った絵本が苦手です。
トイレは楽しい場所だよ!と子どもに伝えるものや、お友達がみんなトイレでうんちやおしっこをしているね、なんて一見楽しそうな絵本も沢山あるのですが、どうしてもその背景の「さぁ、だからあなたもトイレで出来るようになろうね!」という大人の気持ちが透けて見えてしまい...。笑
勿論、こういった絵本がトイトレの手助けになる場合もありますし、お母さんも子どももこうした絵本で楽しくトイトレができるのはとてもいいことだと思います。
ですが、こうした絵本が実際にトイトレに役立ったり、子どもが心から楽しめるには、前提として必ず「親子で絵本を楽しむ時間」が既に確立されていることが必要だと思います。
普段は絵本なんか読まないのに、いざトイトレ!となった時に「さぁ、この絵本を読もうね」なんて言っても、子どもからしたら親の魂胆が見え見えで楽しむどころではありません。笑
普段の絵本の時間、親子の時間が確立されていて、「絵本をお母さんと読む時間」の楽しさを知っている子どもだからこそ、こうした絵本が苦手を克服するきっかけになるのだと思います。
普段の楽しい時間を知っているからこそ、こうした所謂「しつけ絵本」の様な絵本の内容は、しっかりと吟味する必要があると思います。
安易に考えて読んでしまっては、せっかく子どもと楽しんでいた絵本の時間が、押し付けがましいものになってしまうから。
ということで、トイトレの絵本があまり好きではないわたしですが、そんな中でも大好きな1冊があります。
それが、こちら。
まあくんは産まれてからずっと、おむつでうんちとおしっこをしています。
汚れたおむつはお母さんが、愛情たっぷりに綺麗にしてくれます。
そんなある日、おばあさんから大きなプレゼントが届きました。
花瓶かな?ミルク壺かな?
いえいえ、これはおまるです。
まあくんは早速おまるでうんちを試みますが、なかなか出ない。
と思ったら、おまるから立ち上がると出てしまったり。
ところがある日、まあくんはなんだかうんちが出そうな、そんな気がして...。
トイトレの絵本と捉えたら、そうだと思います。
ですが、この絵本は変に「トイレは楽しいところだよ!」や「みんなトイレでうんちをするんだよ!」みたいな、まるでトイレをテーマパークの様に扱っている不自然さは全くなく、単純に、生まれた時はおむつでうんちをしていたけど、次はおまるでするんだね、ということが描かれているだけです。
その中で、布おむつをお母さんが丁寧に外して綺麗にしてくれるあたたかさや、うんちがおまるで初めてできた喜びをお母さんと共有する幸せが伝わってきます。
それらは「トイトレが成功して嬉しい」といったものではなく、単純に親子のあたたかな絆、幸せな日常の一コマにすぎません。
おむつからトイレへ。
排泄の場を変えていく過程は、日常の一コマです。
いついつまでに!なんて焦らなくても、「でたかな?まだまだ」と繰り返しているうちに、いつかは必ず「でた!」となります。
この絵本を通して、息子にトイトレができる様になって欲しいとは思っていません。
「でた!」の喜びをいつかこの絵本の様に、息子と共有できる日を楽しみに待とうと思います。
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【325】『うんちが ぽとん』
アロナ・フランケル 絵・文
さくまゆみこ 訳
アリス館
160611
ayumi◡̈⃝