『おふろだいすき』
松岡享子 作
林明子 絵
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この週末は、全国的に大寒波だそうですね。
京都の明日の気温を見てみたら、最高気温も最低気温も2度!
明日はお家遊びになりそうです。
寒いと恋しくなってくるのが、温泉、銭湯、ひろーいお風呂。
あったかいお湯に全身を伸ばしながらゆっくり浸かれたらどんなに幸せか...なんて妄想してしまいますが、現実は狭い我が家のお風呂で息子とぎゅうぎゅうになって温もっています。笑
でも子どもは、どんなに狭いお風呂でも、一瞬で広々としたお風呂へ変身させられる力を持っています。
そう、くじらが入れるくらいのお風呂へ、です。
今日紹介させてもらう絵本は、大人も子どもも、お風呂の時間が楽しくなりそうな魔法が詰まっている1冊です。
今日の絵本は、『おふろだいすき』です。
まこちゃんは、おふろがだいすき。
おふろへはいつも、あひるのプッカを連れて行きます。
プッカとお湯につかって身体をあっためたら、まこちゃんは1人で身体を洗います。
まこちゃんが身体を洗っていると、突然プッカが言いました。
「まこちゃん、おふろのそこに、おおきなかめがいますよ。」
ぼかっ、ざぁーっ。
お風呂から出てきたのは、おおきなかめ。
そして今度は、かめが言います。
「ほう、おふろにも、ペンギンがいるんですか。」
まこちゃんが振り向くと、そこにはペンギンが2匹立っています。
そうしてまこちゃん家のおふろに、オットセイ、かば、最後はくじらと、次々と動物がやって来るのです。
まこちゃんの体験するファンタジーの世界は、きっと子どもなら誰でも持っている世界です。
小さなお風呂でアヒルの小さなおもちゃとぱちゃぱちゃ遊んでいる様に見える息子も、もしかしたらその時はおおきな海原にいるのかもしれない。
この絵本を読むと、そんな風に感じます。
かばもくじらもみーんな入れるくらいのおおきなお風呂になったまこちゃん家のお風呂ですが、上がってみたらお母さんがおおきな湯上がりタオルを持って待っていてくれます。
まこちゃんはそのタオルの中に飛び込んで、お母さんにきゅっ、きゅっ、と拭いてもらいます。
ああ、いいにおい、いいきもち。
まこちゃんはきっと、現実の世界と空想の世界をわかっています。
現実の世界にこうしてまこちゃんを受けとめてくれる柔らかいあたたかいタオルがあることを知っているから、お風呂の中で壮大なファンタジーの世界に身を置けるのです。
素晴らしい子どもの空想を描いた絵本は、しばしこの境界線がはっきりとしている様に思います。
例えばマリー・ホール・エッツの『もりのなか』も、子どもの空想の世界と現実を見事に描きわけている名作です。
子どもにとって、その境界線はとても大切なものなのだと感じます。
たっぷり空想の世界に浸っても、帰って来れる場所がある。受け止めてくれる人がいる。
だからこそ子どもは、安心して自分のファンタジーの世界へ遊びに行ける。
そう思います。
だから大人は、子どもがくじらとお風呂に入ったと話しても決して否定することなく、優しくタオルで包んであげなければいけないと、この絵本を読むたびに感じます。
そして大人もまた、この絵本を開くとそんな子ども心を思い出せる。
もしかしたら、狭い家のお風呂でも目を閉じたら雪景色の中の露天風呂に変わる...ことはないことをもう知ってしまっていますが、それでもお風呂に浸かってゆっくりと目を閉じてみたくなる。
そんな、あたたかい絵本です。
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【183】『おふろだいすき』
松岡享子 作
林明子 絵
福音館書店 1982/04
最近、息子もお風呂で1人でよく遊んでいます。
息子の相棒は、アヒル隊長とお馬さん。
それに、ペンギンやくじらなどの海の仲間たちもいます。
お散歩してみたり、今日は「あーそーぼー」とみんなで何か遊びをしている様でした。
そんな時は口出しせずに、そっとその空間を見守っています◡̈
そんなお風呂の時間が、わたしもとても好きです♡
160123
ayumi◡̈⃝