さんじのえほん。

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『ぼく つかまらないもん!』

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マーガレット・ワイズ・ブラウン 作
なかがわちひろ 約
長野ヒデ子 絵

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前回、マーガレット・ワイズ・ブラウンとクレメント・ハードの『ぼく にげちゃうよ』 - さんじのえほん。を紹介させてもらいましたが、こちらは同じ作品で長野ヒデ子さんが絵を描いたものになります。

タイトルは少し変わって、『ぼく つかまらないもん!』。

訳者も岩田みみさんからなかがわちひろさんに変わっています。

同じ作品でもこれだけ雰囲気が変わるのか、と思うくらい違った魅力のある絵本となっています。

内容は同じで、家出をしてみたくなったうさぎの子どもが色んな想像をしながらお母さんから逃げていくのですが、お母さんは子うさぎの上をいく想像力でどんどんおいかける、というものです。

クレメント・ハードの作品は、美しい絵と間合い、想像の余白を残してくれる構成と、流石古典と言える間違いなく良質な作品となっていますが、こちらの長野ヒデ子さんの方は、細かい描き込みやとっつきやすい訳などで、古典作品に慣れていないお子さんでも親しみやすい作品に仕上がっています。

母と子の掛け合いや、母親の愛情はどちらの作品にもたっぷりと詰まっているので、入りやすい方から読んでみてもいいかと思います。

また、こちらの作品はうさぎが擬人化されているので、「子うさぎが人間の子どもになって逃げる」というシーンでは、完全な人間として描かれています。
クレメント・ハードの方はうさぎのまま描かれているので、このシーンは擬人化したうさぎとして描かれています。

どちらが良いというわけではありませんが、2歳の息子は長野ヒデ子さんの方を読む時、このシーンで必ず「うさぎさん、どこ行った?」と尋ねてきます。
まだ2歳の子どもには、「人間の子どもに変わった」という描写を理解しにくい様です。

その点クレメント・ハードの方ではそういった事は言わないので、その辺り、やはり古典作品の強さが表れている様に思います。

個人的にはどちらが良い、というよりは、また違った作品として楽しまれてみてもいいかと思います。

日本の画家さんが描かれているという点で、やはり親しみやすさはこちらの作品に軍配が上がるかもしれませんね。
古典作品に慣れていないお子さんはこちらを入り口として、『ぼく にげちゃうよ』も是非手に取ってみて欲しいと思います。


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【281】『ぼく つかまらないもん!』
マーガレット・ワイズ・ブラウン 作
なかがわちひろ 訳
長野ヒデ子 絵


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ayumi◡̈⃝