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さんじのえほん。

3時のおやつみたいに、絵本が日々のちょっとした幸せに⋆* 駆け出しの絵本講師、1日1冊絵本を紹介しています◡̈

『ぼく にげちゃうよ』

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マーガレット・ワイズ・ブラウン 作
クレメント・ハード 絵
岩田みみ 訳

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息子はおっぱいが大好きで、自然と卒乳するまでは毎晩おっぱいなしでは寝れない子でした。

赤ちゃんの頃は夜中に何度も起きてはおっぱい。
おっぱいじゃないとダメで、哺乳瓶も受け付けなかったので、必然的に4時間以上は息子と離れることはできませんでした。

でもそんなおっぱいも、本当に自然と卒業しました。
最後はわたしから「これで最後にしようね」とおっぱいを出しました。
おっぱいを吸う息子を見ながら、これが最後だと思うと少し涙が出ました。

おしゃべりも遅かった。
2歳になってもなかなか単語が増えない息子。
焦りはしなかったけど、全く不安になったことがないと言えば嘘になる。
でもいつの間にか言葉が増えて、今では一丁前に関西弁。
「絵本読んで」と持ってくる息子を見ながら、「読んで」と言えずに手を挙げてアピールしていた息子を思い出し、少しだけ寂しくなりました。

抱っこからおろすと必ず起きて泣いていた、背中スイッチがあった頃。

どこに行くにも必ず、ベビーカーで移動できるエレベーターの場所を確認していた頃。

背中におんぶしながら夜ご飯を作り、立ったまま台所でかき込んでいた頃。

気付けばそんな日々も終わりを迎えて、今では「懐かしい」と言える様になりました。
そして同時に、一抹の寂しさも覚える様になりました。

スーパーでひっくり返ってイヤイヤ大泣きしている今。

泣き出すとすぐに「抱っこちゃん」とわたしにしがみついてくる今。

ゆるくトイトレを開始したものの、「おしっこ、出ないねぇ」と補助便座にまたがって大笑いしている今。

きっとそのどれもが、もう数年、いや、数ヶ月後には「あの頃」になるのかと思うと、大変だと感じている日々が愛おしく思えます。

「ぼく にげちゃうよ」

そんな風に笑いながら、子どもはあっという間に大きくなる。

「おまえが にげたら、かあさんは おいかけますよ。だって、おまえは とってもかわいい わたしのぼうやだもの」

そう言って優しく抱きしめられる日々。
永遠に続くと思っていても、それは本当にあっという間。
いつしか子どもは、追いかけても追いかけても届かない広い世界へと行ってしまう。
手を繋ぎ、抱きしめられる日は、子どもとの時間の中でほんの一瞬しかない。

夜ちっとも眠れなくて寝不足だった日々は、1年近くで終わりました。

おっぱいの時間を考えながら行動していた日々も、2年程で終わりました。

ベビーカーと抱っこ紐が手放せなかった時期も、2年半程で終わりました。

1人の時間が欲しい。
ゆっくり本が読みたい。
たまにはヒール履いておしゃれしたい。
子連れでは行けないカフェに入りたい。

きっとそれが叶うのも、あと数年後。
そしてその数年後には、もっともっとかけがえのない時間が、もう思い出になってしまっている。

散らかった部屋。
食べこぼしだらけの床。
オムツでいっぱいのゴミ袋。
大荷物抱えてのお出かけ。

それらが綺麗サッパリなくなった時、もう戻らない日々を思い、きっと涙が出てくる。

「かあさん」とわたしを求めてくれる日々。
「にげちゃうよ」と言いながら、捕まえさせてくれる日々。
こんな優しい絵本を、わたしの膝に座って一緒に読ませてくれる日々。

いつかなくなった時に、その記憶のどれもを愛おしめる様に。

今は沢山沢山、わたしの中に思い出を詰め込みたい。

この絵本をいつかわたしが1人で開く時に出てくる涙が、辛いものではなく愛しいものである様に。

今は「かあさん」を、思う存分満喫したい。
そう思います。


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【280】『ぼく にげちゃうよ』
マーガレット・ワイズ・ブラウン 作
クレメント・ハード 絵
岩田みみ 訳


160427
ayumi◡̈⃝


『おやすみなさいおつきさま』 - さんじのえほん。のペアが描く、優しい親子のお話です。
おやすみなさいおつきさま』に親しんでいるお子さんは特に、身近に感じる絵本だと思います。