さんじのえほん。

3時のおやつみたいに、絵本が日々のちょっとした幸せに⋆* 駆け出しの絵本講師、1日1冊絵本を紹介しています◡̈

『ゆきのひ』

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エズラ=ジャック=キーツ 作

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今日は、「美術館「えき」KYOTO」で開催されている「北欧から届いたファンタジー 切り絵作家アグネータ・フロックの世界展」へ行って来ました。

繊細でいてファンタジーの魅力満載の切り絵の世界は、とても美しく、クリスマスシーズンにもぴったりの雰囲気でした。

作品を作られている実際の映像もあり、下絵なしで小さなハサミであっという間に可愛らしい切り絵の動物が出来上がる様は、ただただ感心するしかありませんでした。

ファンタジーの世界や動物の切り絵も沢山あったので、小さな息子でも楽しめていたみたいでした。

そんな今日は、貼り絵と言えば1番に思い浮かぶこの絵本を紹介させて下さい。
寒い季節になるとその美しいコラージュを眺めたくなる1冊です。

今日の絵本は、『ゆきのひ』です。

冬のある朝、ちっちゃなピーターが目を覚ますと外は白銀の世界でした。

ピーターは足跡をつけて歩いたり、木の棒で枯れ木に積もっている雪を振り落としたり、寝っ転がって雪に身体で模様をつけたり。

大きな子ども達は雪合戦をして遊びますが、ピーターはまだ小さいのでそんな遊びはできません。
でもピーターなりに雪の世界を思う存分楽しみます。

この絵本の魅力は何と言っても、美しいコラージュと水彩画とで描かれた雪の世界だと思います。
真っ白な雪の世界によく映える、黒人の坊やのピーター。
作者のキーツは、ピーターを黒人にしたのは深い意味があったわけではなく、ただ単に昔出会った可愛い黒人の男の子をいつか描こうとあたためていて、それがピーターになったのだと述べているそうです。

ちびくろサンボ』の議論は有名ですが、この『ゆきのひ』の様に優れた絵本を読むと、大人が後付けの様に絵本に差別意識や問題提起をするのはやっぱり間違ってると感じずにいられません。

ピーターが雪の世界を楽しむ姿、ポケットに入れていた雪が消えてしまったことを悲しむ姿は、正に子どもらしい愛らしい姿です。
子ども達はきっと、その姿と自分とを重ねる事ができると思います。

ラストの雪の結晶の舞うページは、いつまでも眺めていたくなる様な美しさがあります。

もうすぐ雪の降る日もやって来ると思います。
そんな日は是非、ピーターの様に雪の世界を楽しみたいと思います。

ピーターが主役の絵本はその後何冊か出版されていて、ピーターはどんどん大きくなっていきます。
よかったらピーターの成長もまた、他の絵本で読んでみて下さい。

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【133】『ゆきのひ』
エズラ=ジャック=キーツ 作
偕成社 1969/12

『ゆきのひ』は、1963年度のコルデコット賞を受賞した作品です。

コルデコット賞とは、1年間にアメリカで出版された絵本の中で最も優れたものに与えられる賞で、アメリカではかなり権威のある児童書の賞になります。

このblogでも紹介させていただいた、バーバラ・クーニーの『にぐるまひいて』も1980年に受賞しています。

日本に翻訳されている作品も多く、さすが受賞作品だと思える様な素晴らしい作品ばかりです。

図書館などでもよく、「コルデコット賞受賞作品」コーナーを見かけたりもします。

意識して手に取ってみるのも、絵本との出会いのきっかけになるかもしれませんね◡̈


151204
ayumi◡̈⃝