『どうすればいいのかな?』
渡辺茂男 文
大友康夫 絵
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お馴染みくまくんシリーズの中でも、特に有名な1冊がこちら。
くまくんが腕組みをしているこの表紙に見覚えがある人も少なくないと思います。
服を着ようと奮闘するくまくん。
「しゃつを はいたら どうなる?」
シャツは履く...ものではないですよね。
袖口を足に通したちょっと困り顔のくまくんが笑いを誘います。
でもちゃんとくまくんは、
「そうそう、しゃつは きるもの。」
と、自分でシャツを上手に着ています。
こんな風に、パンツや靴、ぼうしなど、くまくんはちょっと失敗しながら、(もしかしたらわざと間違えながら)、正解にたどり着いて行きます。
よくこの絵本は、「お洋服の着脱を手助けしてくれる絵本」だとか、「着脱に興味を持たせる絵本」としても紹介されています。
確かに、服の着脱に興味を持っている子や、これからチャレンジする子の何かしらの手助けにはなるかもしれません。
ですが、わたしはこの絵本をそうした「着脱の絵本」に分類はしたくありません。
くまくんは、毎回それぞれのアイテムを着るのに失敗します。
しかも大人からしたら、どう考えても違うでしょう!と言いたくなる様な間違い方です。
帽子を足に履いているくまくんの表情は、ぺろりと舌を出してまるでいたずらっ子。
そう、くまくんはもしかしたらわかってやっている「確信犯」なのかもしれません。
もしこれが日常生活の中での出来事であれば、急いでいる時だと特に、「ふざけないでちゃんと着なさい!」と雷を落としてしまうシチュエーションですよね。
でも、絵本の中でだと、そんなちょっとしたいたずら心や「自分でやってみたい」という好奇心をそのままそっくり認めてあげられます。
この絵本は、2歳から3歳のお子さんに特にオススメしています。
ちょうど自我が芽生え始め、イヤイヤ期も重なり、大人もつい怒る回数の増えるこの時期。
大人も「わかっているけど」つい怒ってしまうことが多い時期でもありますよね。
そんな時期だからこそ、こうした子どもの全てを受け入れてあげられる、自己肯定感を育んであげられる絵本を是非読んでもらいたいと思います。
絵本を親子で読んでいる間だけは、どんないたずら心も受け入れてあげられる。
決して急がずに、子どものやりたいことを子どものペースでさせてあげられる。
なかなか日常生活では難しいからこそ、絵本の力を借りたいと、そう思います。
子どもの「自分でやりたい」という気持ちをまるっと受け入れてあげられる。
決して「何かをできるようにする」絵本ではない、もっと大きな力を持っている、素敵な1冊です。
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【330】『どうすればいいのかな?』
渡辺茂男 文
大友康夫 絵
福音館書店 1980/06
160616
ayumi◡̈⃝