『おおきくなったら なにになる?』
フランソワーズ 作
中川千尋 訳
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ここ数日、入園式や入学式へ向かう皆さんをよく見かけました。
家族揃って手を繋いで、新しい第一歩。
きっと子ども達の心の中には、ちょっとの不安の沢山の期待が詰まっていたことでしょう。
新しい一歩を踏み出すとき、不安も勿論ありますが、誰しも様々な夢も抱くと思います。
子ども達にはそんなキラキラした期待や夢を、いつまでも心の中に留めておいて欲しいなぁと思います。
幼い頃は、何にでもなれるような気がしていました。
ケーキ屋さんやお花屋さん、学校の先生、歌手、可愛い花嫁さん...大きくなったら「何か」になる、それが当たり前だと思っていました。
でも大人になるにつれ、その「何か」になるのは一握りの人だということに気付きます。
それでも真っ直ぐに夢を見ることができていた日々は、大人になった時の自分を支えてくれる何かになっている様な気がします。
この絵本は、そんなキラキラした夢がたっぷりと詰まった1冊です。
ねえ ねえ みんな
おしえて おしえて
おおきくなったら
なにに なりたい?
なに したい?
フランソワーズのあたたかく親しみやすい絵が、こんな風に呼びかけてくれます。
田舎に住んで動物を飼ってみたい?
船乗り?探検家?ペット屋さん?
夢はどんどん膨らみます。
この絵本の素敵なところは、終始こんな呼びかけだけで絵本が進むこと。
こんな風にもなれるね。
あんなこともしてみたいね。
「でも」がないお話は、子ども達に夢だけを見させてくれます。
いつかはきっと現実に気付く日が来る。
サーカスのスターになる人にはそれなりの素質がいるし、お医者さんになるのだって沢山沢山勉強しなきゃいけない。
でも、そんな現実を見るのは、もっと大きくなってからでいい。
子どもの内は、子どもの世界で沢山夢見て欲しい。
いつか大人になった時、その夢の引き出しは多ければ多い程、それは人生の糧になるのだと思います。
新しい一歩を踏み出した子ども達。
是非、今心に抱く新生活への夢や期待を大切にして欲しいと、そう思います。
大人になるのに、焦らなくてもいい。
子ども時代を、思う存分満喫して下さい。
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【262】『おおきくなったら なにになる?』
フランソワーズ 作
中川千尋 訳
偕成社 2005/11
160409
ayumi◡̈⃝