『こんにちは』

渡辺茂男 文
大友康夫 絵
........................✍
ついこの前のの出来事。
息子は今イヤイヤ期真っ最中で、少し遠出のお出かけはなかなか勇気がいります。
東京から来てくれていたわたしのお友達に会う為に駅まで出ていたのですが、やっぱり帰りにイヤイヤが始まり、抱っこ抱っこ。
運良く帰りの電車が空いていたので、吸い込まれる様に息子を抱っこしたまま座らせてもらいました。
その時たまたま隣に座っていた方が、息子を見て話しかけてくれて。
可愛い時期だねぇ。お母さんが1番の時期だねぇ。
確かにそう。可愛い時期。でもその時、わたしは息子のイヤイヤに精魂尽き果てていて、素直に「ありがとうございます」と言えずに苦笑するしかできませんでした。
息子に「こんにちはは?」と挨拶を促してみるものの、初対面の人に挨拶をした試しがないので半ば習慣の様に聞いてみただけだったのですが、息子はわたしにしがみついたまま小さな声で、「こんにちは」と言いました。
とってもびっくりして。
相手の方には聞こえないくらい小さな声でわたしにしか聞こえませんでしたが、息子が初めてちゃんと知らない人に「こんにちは」と言ったその瞬間は、忘れられないものとなりました。
イヤイヤは成長している証拠。
そう思うものの、実際のイヤイヤは本当に大変で。
でもこうして成長を目の当たりにすると、わたしも頑張ろうと、嬉しくなります。
わたしこそ、息子に成長させてもらっている気がします。
「こんにちは」
そんな挨拶を描いたこちらの絵本。
小さなお子さんにとってもオススメの1冊です。
息子の1歳の誕生日にプレゼントした、思い入れもある絵本です。
くまくんが挨拶をします。
小さなすずめやねこ、いぬ、牛乳屋さんや郵便屋さんと、徐々に挨拶をする対象が大きくなっていきます。
小さなものから大きなものへ。
ひとつひとつクリアして自信をつけていく様は、小さなお子さんそのものです。
こうした描かれ方をしている絵本は、良質なものが多いです。
お洗濯中のお母さんにこんにちはをしたら、お母さんは「かわいい かわいい」と抱き上げて頰ずり。
読んでいるお母さんは、その気持ちがとってもわかると思います。
少し迷惑そうなくまくんの表情がまた微笑ましいです。
最後は大好きなパパ。
スーツ姿のパパに駆け寄るくまくん。
お仕事で留守がちのパパは、やっぱり特別なのが伝わります。
小さな子どもの成長と、家族の愛がたっぷり伝わる1冊。
たんぽぽも出てくるので、今の季節にもぴったりです。
是非1歳くらいのお子さんから、長く長く親子で読んでいただきたい絵本です。
........................✎
【251】『こんにちは』
渡辺茂男 文
大友康夫 絵
福音館書店 1980/06
160330
ayumi◡̈⃝