『えほんのこども』
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とても今更ですが、わたしは絵本が大好きです。
でも、子どもの頃から大好きだったか?と言われたら、はっきりとイエスとは言えないかもしれません。
嫌いではなかったし、思い入れのある絵本もあります。
でも、大人になってから絵本を知れば知る程、「こんな絵本読んだことない!」「この絵本、子どもの頃読みたかったなぁ」と思う絵本が沢山ありました。
びっくりされるかもしれませんが、あの『ぐりとぐら』ですら、子どもの頃に読んだ記憶がありませんでした。笑
幼稚園なとでは読んでもらってるはずなんですけどね。
そういう事からも、改めて、出会う絵本や出会うシチュエーションの大切さを実感しています。
と、話は少しずれてしまいましたが。
大人の視点での絵本と、子どもの視点での絵本とは恐らく違います。
大人はどうしても絵本に意味を見い出したがりますが、子どもは子どもの世界観で絵本を楽しみます。
大人からしたら、「え、そこ?」という箇所に執着したりもします。
きっとどんな絵本でも、子どもの頃と大人になってから読むのとでは、抱く感想や感じ方は変わってくると思います。
だからこそ、子どもの頃に沢山絵本に出会っていたかったなぁと感じます。
今日紹介させていただく絵本は、正にそんな「子どもの視点」を具現化した絵本。
大人の方は、心をまっさらにして読んでみて欲しいと思います。
今日の絵本は、『えほんのこども』です。
おおきな えほんが あくびを したら
ちいさい えほんが とびだした
えほんの こども とびだした
えほんの でんしゃで とびだした!
そんな冒頭から始まるこの絵本。
タイトルの通り、えほんのこどもがあちこちへ出向き、様々な「ちいさいおはなし」をして巡ります。
大人が見たら、ナンセンスな絵本だと感じるかもしれません。
でもナンセンスとはまた違う。
絵本を通して描かれているのは、子ども達の「絵本を見る視点」だと感じます。
荒井良二さんの細く落書きの様な絵は、子どもの脳内そのもの。
例えばちいさいおはなしの主役がブリッジきょうだいだったとしても、子どもが見てるのは、きょうだいの下を通り過ぎるカメだったり。
奥の方で、ぞうが「いいにおい」と何かを見つけていたり。
そんな、大人は絶対に見向きもしない所を、荒井さんは細く描き込んでいます。
だから全体的にとてもごちゃついている。
でもそれが、子どもの絵本を見る視点。
ページの隅々まで、沢山のストーリーが詰まっている。
例えそれが橋の兄弟のお話だったとしても、子どもの脳内にはカメのお話もぞうのお話も瞬時に出来上がっていく。
大人には出来ない芸当。羨ましくもあります。
小さい頃読んだ絵本の記憶は、そのメインのストーリーではなく、あるページのワンシーンだったりしますよね。
大人になって改めて読んで、「こんな絵本だったんだ!」って思ったりもします。
それだけ子どもは、自由に絵本の世界を闊歩するのだと思います。
この絵本を読むと、そんな子どもの頃の感覚を少しだけ取り戻せる様な気がします。
なので、この絵本は「子ども向き」かと言われたら、もしかしたらそうではないかもしれません。
子どもからしたら、自分達の無意識の脳内を描かれているようなものなのかな?と思います。
子ども達はこの絵本をどう読むのか...いつか息子に見せた時の反応を楽しみにしたいです。
そしてこの絵本、是非カバーを取って、カバーと並べてみて下さい。
とても面白い、荒井さんの工夫が見られますよ。
全ページ文字も全て荒井さんの手書き。
荒井さんの絵本に対する意気込みをとても感じられます。
個人的には、大人の方にこそ楽しんで欲しい、とてもお気に入りの1冊です。
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【118】『えほんのこども』
講談社 2008/11
今朝、息子が目覚めの第一声で話し出したのが、『タンタンのずぼん』でした。
内容をほぼ覚えているので、寝ぼけ眼で暗唱。笑
その後ようやく、「パンたべよー」と朝ごはんの食卓へ向かいました。
夢でタンタンを見てたのかな?
そう思ったけど、敢えてそこは聞かず。
今2歳3ヶ月の息子。
今の息子の記憶がいつまで残っているのかはわからないけど、「そういえばこの絵本、好きだったなぁ」と、大人になって絵本を手にして思ってもらえたら嬉しいなぁ。
その記憶と共に、わたしと一緒に読んだ思い出も残ってくれたら嬉しい...と、ちょっと思ったりもします。
そこは、親のエゴですね。
今まで読んできた絵本、そしてこれから出会うであろう物語達が、息子の人生の支柱のひとつになってくれたら嬉しいな。
そんな事を感じた朝でした◡̈
151119
ayumi◡̈⃝