『いっぱい やさいさん』
まど・みちお 文
斉藤恭久 絵
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8月31日。今日で8月も終わり。
8月が終わると、夏が終わったなぁとしみじみ思います。
最後に少しだけ夏を感じられる絵本を紹介したいと思います。
そして今日は、やさいの日。
という事はやっぱり、やさいの絵本ですよね。
今日の絵本は、『いっぱい やさいさん』です。
タイトルの通り、いっぱいのやさいさんが出てきます。
きゅうりさんは、きゅうりさんなのが うれしいのね。
たまねぎさんは、たまねぎさんなのが うれしいのね。
ひとつひとつのやさいに、まど・みちおさんの優しい言葉が紡がれます。
やさいの側には虫達が、美味しそうだと眺めています。
トマトにきゅうりになすにピーマンに。
この夏、沢山食べたやさい達も勿論、じゃがいもやほうれんそう、今から沢山食べるやさいも出てきます。
そのどれもが丁寧に描かれた本質に近いもの。
根っこの先まで描かれています。
そしてまどさんの言葉達。
まどさんはあとがきでこう述べられています。
「この数かぎりない生き物の中のどの一つとして、自分が自分として生かされていることを幸せに思わぬものはいません。
みんな幸せに思い、誇りに思い、嬉嬉として他者とは違う自分の個性を発揮しあって生きています。」(あとがきより抜粋)
きゅうりもたまねぎもグリンピースもにんじんも。
みんなそれぞれ違います。
食べる季節も違う。味も違う。色も形も違います。
それぞれに魅力があり、大好物だと言う人もいれば、ちょっぴり苦手という人もいるでしょう。
人間も同じ。
誰1人として、同じ人間はいません。
性別も年齢も、髪型も肌の色も。
みんな違うし、みんなそれぞれに魅力があります。
大好きなお友達もいるでしょう。
ちょっぴり苦手なお友達もいるかもしれません。
でもそれでいいんです。
みんな違うからこそ、面白い。
...そんな事を思いながら、きっと子どもはこの絵本を読まないでしょう。
単純にやさいがいっぱいで興味深々かもしれないし、知ってる虫に喜ぶかもしれません。
このやさい、自分に似てるな。そんな風に想像する子もいるかもしれません。
まどさんの優しい言葉をお母さんの声で聞いて、安心する子どももいるでしょう。
絵本に色々思いを馳せるのは大人達。子どもはそんなのお構い無しに、単純に楽しみます。
それでいいと思います。
この絵本を単純に楽しむ子どもも、まどさんの言葉にじっくり心を傾ける大人も、間違ってはいません。
絵本の楽しみ方も、人それぞれ。
それでいいんです。
夏の終わり。そんな事を思いながら、夏のやさい達に「ありがとう」と言いたくなりました。
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【38】『いっぱい やさいさん』
まど・みちお 文
斉藤恭久 絵
至光社 1992/06
上にも書きましたが、絵本の楽しみ方は人それぞれでいいと思います。
こんなブログを書いていながら言うのもおかしいかもしれませんが、感想は人それぞれ。
好きだと思う人もいれば、好みじゃないと思う人もいる。
良い絵本だと思う人もいれば、これはどうなの?と思う人もいる。
子ども達がどう捉えるかも、子ども達の自由です。
大人はどうしても、絵本に意味を求めがちです。
「この絵本はこんな事を伝えてくれる」「こんな事を教えてくれる」、そんな目線でつい読んでしまいます。
でも子どもはもっと素直に単純に、絵本を楽しみます。
大人が意図しない所を楽しんだり、気に入ったりします。
どちらが正しいとかはないと思います。
大人の様に深く読む事もまた、絵本の楽しみ方のひとつかもしれません。
でもやっぱり基本は子どもの読み方。
単純に楽しむ。純粋に楽しむ。
本を読む事に慣れてしまっている大人にはちょっと難しい読み方かもしれません。
子どもみたいに素直に絵本を楽しみたいなぁ。
そんな風に、たまに思ったりもします。
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今朝は肌寒く、起きてからすぐカーディガンを羽織りました。
今までは朝もアイスコーヒーを飲みたくなっていましたが、今朝はゆっくりホットコーヒーの気分。
こんなところでも、夏の終わりを感じます。
週のはじめ。
そして8月の終わり。
生憎の雨模様ですが、素敵な1日になりますように⋆*
150831
ayumi◡̈⃝