さんじのえほん。

3時のおやつみたいに、絵本が日々のちょっとした幸せに⋆* 駆け出しの絵本講師、1日1冊絵本を紹介しています◡̈

『おふろだいすき』

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おふろだいすき (日本傑作絵本シリーズ) 』

 

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最近息子がお気に入りのこの絵本。

お風呂も大好きだし、お湯に潜るのも大好きな息子にはぴったりのテーマとストーリーです。

 

林明子さんと松岡享子さんという素晴らしいお二方の作品。

有名な作品なので、ご存知の方も多いと思います。

 

まこちゃんは、アヒルのプッカと一緒にお風呂に入ります。

いつもの様に身体を洗っていると、次々と動物達がお風呂場へ現れます。

 

かめやペンギン、かば、オットセイ、くじら。

ちょっと不思議で面白いみんなと、お風呂の時間を楽しむまこちゃん。

 

湯気がほわほわと満ちている絵本の世界は、読んでいるこちらまであたたかく気持ちよくなれる1冊です。

 

先日、ある絵本勉強会でこの絵本を少し取り上げてもらいました。

と言うのも、わたし自身がこの絵本の「適齢期」に迷っていたからです。

 

ストーリーは先程述べた様に、小さな子どもでも楽しめるファンタジーの導入の様なものです。

 

お母さんのいる現実世界から、動物達の登場する架空の世界へ、そしてまた、お母さんの待っている現実世界へ。

マリーホールエッツの『もりのなか』もそうですが、「行って帰る物語」は、絵本の基本でもあります。このお話は、そこがしっかりと描かれています。

 

そしてその舞台が「お風呂」という、子どもにとっても身近な場所。

アヒルのプッカも、小さな子ども達がいかにも一緒にお風呂に入りそうな相棒です。

 

最初と最後にお母さんが出て来ますが、その顔は描かれていません。

読み手はしっかりと、「まこちゃん」に感情移入することができます。

小さな子どもは、沢山の登場人物が出てしまうとどこに感情移入していいのかわからなくなってしまいます。その点、このストーリーは「まこちゃん」だけに焦点を当て、小さな子にもストーリーに入りやすい入り口を作ってくれています。

 

この様な点からも、この絵本はファンタジーの世界を楽しむ力を徐々につけてきた3歳児くらいから楽しめるのではないか?と考えていました。

 

ですが、この絵本は文章量がとても多いです。

文章量自体が問題なのではなく、ページ展開における文章量のバランスがとても難しいと感じていました。

 

例えば、ペンギンの兄弟が登場するシーン。

こちらはこの絵本の中でも文章量の多いページになります。

そのシーンに比べたら、かばの登場シーンは3場面も使い文章を分けています。

文章量で言えばどちらもそう変わらないかもしれませんが、ページをめくるスピードに差が出てきます。

 

この場面展開が、3歳児には少し難しい様に感じていました。

 

絵本の基本的構成やストーリー展開は3歳児から楽しめるものだけど、文章量や場面展開は少し難しい。

その点から、この絵本の「適齢期」は一体何歳くらいなのだろう、と迷っていました。

 

ですが、絵本勉強会で「子どもは絵本をかいつまんで読む」という話を聞き、だいぶ自分の中で整理できた様に思います。

 

要は、子どもは絵本の全てを隅々まで理解しているのではなく、「面白い」と思うところは楽しみ、「よくわからない」と思うところはそのまま流して聞いている。

「よくわからない」と思うところが多ければそれはその子にとってまだ内容が早かったのか、文章量が多すぎたのか、何かしら合っていなかったのだと思うし、所々わからないところがあったとしても、全体的に「面白い」と思えたのならそれはその子にとって「面白い」絵本となる。

 

実際息子は、この絵本を繰り返し持って来ます。

所々文章が長いページは少し飽きてきたりするものの、途中で決してやめることなく最後まで聞いています。

「まだ早いかな?長いかな?」と感じていたのはわたしだけで、いつも一緒にお風呂に入るアヒルのおもちゃを「プッカ」と呼んでみたり、公園でシャボン玉をしている子ども達を見て「オットセイと一緒!」と喜んでいる姿を見ると、しっかりとこの世界に入り込んでいることを感じます。

 

文章量は、絵本の基本的構成よりは問題ではありません。

逆に文章量が少なくても、そのストーリーが小さな子どもにはまだ難しいものも沢山あります。

 

まずは絵本の基本的な構成が何歳頃の成長発達に合っているのか。

そしてその上で、文章量がその年齢の子どもに聞けるものなのか。

そこを判断することが大切だと改めて学びました。

 

この絵本で言えば、絵本の基本的構成は3歳くらいで受け入れられるものだと思います。

ですが、文章量や場面展開はもしかしたらまだ3歳児には難しいかもしれない。

勿論聞ける子は聞けます。先程述べた様に「かいつまんで面白いところを繋げる」読み方ができれば、十分3歳児でも楽しめます。

ただ、長い文章を聞けるのか聞けないのかは、その子の絵本経験や能力にもよるところだと思います。

 

ですので、文章量に問題がないのであれば3歳頃から。平均的に言えば、この絵本のストーリーと文章量を楽しめるのは、4歳くらいが目安かな?と自分なりに結論を出せました。

 

こうして1冊の絵本を噛み砕き、その構成や場面展開、ストーリー、文章量などひとつひとつを読み解くと、「子どもに手渡す良質な絵本」の本質がよく見えてくると改めて感じました。

 

この絵本は、そう言った点では本当によく考えて作られている、良質な絵本だと思います。

手渡す時期を間違えずに、その子が本当に楽しめる時期を見極める。

それが大人の大切な役割のひとつだと思います。

 

これからも1冊1冊、丁寧に絵本と向き合い、子どもに手渡す時期を間違えずに親子で絵本を楽しみたいと、改めて感じました。

 

 

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161113

ayumi◡̈⃝