さんじのえほん。

3時のおやつみたいに、絵本が日々のちょっとした幸せに⋆* 2児の子育てをしながら絵本や子育てにまつわるあれこれをお話しています。マイホームは絵本ハウス。絵本に囲まれた暮らしを親子で楽しんでいます◡̈京都在住。絵本講師✎

『ぼくは あるいた まっすぐ まっすぐ』

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『ぼくは あるいた まっすぐ まっすぐ』

マーガレット・ワイズ・ブラウン 作

坪井郁美 文

林明子


........................✍

 

おばあちゃんから電話をもらったぼく。
おばあちゃんの家へ1人で行くことになりました。

 

田舎道をまっすぐまっすぐ。
呪文の様に唱えながら歩きますが、これは何だろう?あれは何だろう?と小さな子ども特有の好奇心から、道はどんどんそれてしまいます。

 

それでもぼくは、ひたすら「まっすぐ まっすぐ」歩きます。


息子の3歳の誕生日に贈った絵本。
ずっと3歳の誕生日はこの絵本にしようと思っていました。

 

3歳の1年は、きっと世界がぐんと広がる。
親子の時間が殆どだった今までと違い、集団生活が始まったりと、自分の時間、自分の生活が少しずつ出てきます。

 

思考力もぐんと上がり、取捨選択も少しずつ出来るようになってくる。
そんな時期に、この「まっすぐ まっすぐ」進む絵本を読んであげたかった。

 

絵本のぼくは、自分の進む道をひたすら「まっすぐ」だと信じて歩きます。
田舎道から外れて森の中だったり川の中だったりするのですが、その度に男の子は「どうしたらまっすぐ進めるか」を考えて歩きます。

きっと大人になるにつれ、それができなくなってくる。


目の前に橋のない川があれば、「引き返そう」と思うかもしれない。
男の子のように、「靴を脱いで渡ろう」なんて発想はきっとしないでしょう。

 

いい意味では知恵がつく。
でも素直さ、純粋さが濁っていってしまう。

 

これから先、まっすぐ進みたくとも進めない時がきっと出てきます。
今まではそんな時にすぐ側にいたお母さんも、いない時が来るかもしれない。

 

そんな時に、「やめよう」「諦めよう」ではなく、「どうしたらまっすぐ進めるだろう」と考えられる人になって欲しい。


例えそれが間違っていても、自分が信じる心の根っこだけは「まっすぐ」であって欲しい。
そんな風に思います。

 

ぼくがまっすぐ進んだ道の先には、ちゃんとおばあちゃん家がありました。
大好きなおばあちゃんがケーキを作って待ってくれている。

 

「おばあちゃんの おうち やっぱり まっすぐだった」

 

まっすぐ歩いていく先に、大好きな人が待ってくれている。
信じてくれる人がいる。
だからこそ迷いなく、まっすぐ歩ける。

 

1人で進みなさい、ではなく、まだまだちゃんと大人が見守ってくれている。こっそりサポートしてくれている。
ここが、この絵本が3歳くらいの子どもにぴったりの理由だと感じます。

 

自分でやりたい。自分で進みたい。
でもだからって突き放すわけではなく、ちゃんと大人が見守っている。
この好奇心と安心感。3歳くらいの子どもには、とっても大切なものだと思います。

 

でこぼこ道でも、まっすぐまっすぐ。
そんな風に歩く子どもを、見守れる限りはずっと見守りたいと、そう思います。

 

3歳のお誕生日おめでとう。


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【】『ぼくは あるいた まっすぐ まっすぐ』
マーガレット・ワイズ・ブラウン 作
坪井郁美 文
林明子
ペンギン社 1984/11


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ayumi◡̈⃝