『ぼくは あるいた まっすぐ まっすぐ』
『ぼくは あるいた まっすぐ まっすぐ』
マーガレット・ワイズ・ブラウン 作
坪井郁美 文
林明子 絵
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おばあちゃんから電話をもらったぼく。
おばあちゃんの家へ1人で行くことになりました。
田舎道をまっすぐまっすぐ。
呪文の様に唱えながら歩きますが、これは何だろう?あれは何だろう?と小さな子ども特有の好奇心から、道はどんどんそれてしまいます。
それでもぼくは、ひたすら「まっすぐ まっすぐ」歩きます。
息子の3歳の誕生日に贈った絵本。
ずっと3歳の誕生日はこの絵本にしようと思っていました。
3歳の1年は、きっと世界がぐんと広がる。
親子の時間が殆どだった今までと違い、集団生活が始まったりと、自分の時間、自分の生活が少しずつ出てきます。
思考力もぐんと上がり、取捨選択も少しずつ出来るようになってくる。
そんな時期に、この「まっすぐ まっすぐ」進む絵本を読んであげたかった。
絵本のぼくは、自分の進む道をひたすら「まっすぐ」だと信じて歩きます。
田舎道から外れて森の中だったり川の中だったりするのですが、その度に男の子は「どうしたらまっすぐ進めるか」を考えて歩きます。
きっと大人になるにつれ、それができなくなってくる。
目の前に橋のない川があれば、「引き返そう」と思うかもしれない。
男の子のように、「靴を脱いで渡ろう」なんて発想はきっとしないでしょう。
いい意味では知恵がつく。
でも素直さ、純粋さが濁っていってしまう。
これから先、まっすぐ進みたくとも進めない時がきっと出てきます。
今まではそんな時にすぐ側にいたお母さんも、いない時が来るかもしれない。
そんな時に、「やめよう」「諦めよう」ではなく、「どうしたらまっすぐ進めるだろう」と考えられる人になって欲しい。
例えそれが間違っていても、自分が信じる心の根っこだけは「まっすぐ」であって欲しい。
そんな風に思います。
ぼくがまっすぐ進んだ道の先には、ちゃんとおばあちゃん家がありました。
大好きなおばあちゃんがケーキを作って待ってくれている。
「おばあちゃんの おうち やっぱり まっすぐだった」
まっすぐ歩いていく先に、大好きな人が待ってくれている。
信じてくれる人がいる。
だからこそ迷いなく、まっすぐ歩ける。
1人で進みなさい、ではなく、まだまだちゃんと大人が見守ってくれている。こっそりサポートしてくれている。
ここが、この絵本が3歳くらいの子どもにぴったりの理由だと感じます。
自分でやりたい。自分で進みたい。
でもだからって突き放すわけではなく、ちゃんと大人が見守っている。
この好奇心と安心感。3歳くらいの子どもには、とっても大切なものだと思います。
でこぼこ道でも、まっすぐまっすぐ。
そんな風に歩く子どもを、見守れる限りはずっと見守りたいと、そう思います。
3歳のお誕生日おめでとう。
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【】『ぼくは あるいた まっすぐ まっすぐ』
マーガレット・ワイズ・ブラウン 作
坪井郁美 文
林明子 絵
ペンギン社 1984/11
160726
ayumi◡̈⃝