さんじのえほん。

3時のおやつみたいに、絵本が日々のちょっとした幸せに⋆* 駆け出しの絵本講師、1日1冊絵本を紹介しています◡̈

『しあわせなモミの木』

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シャーロット・ゾロトウ 文
ルース・ロビンス 絵
みらいなな 訳

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今日はお目当の古本市と読み聞かせイベントがあったので、神戸の方まで行っていました。

神戸と言えば、今ルミナリエの真っ最中。
さすがに息子連れでルミナリエは見れませんでしたが、街中やお店もキラキラと輝いていてツリーも至る所にあり、神戸という土地柄もあるのか、よりクリスマスの雰囲気がぴったりで素敵でした。

そんな今日もやっぱりクリスマスの絵本を紹介させてもらいたい。そう思い絵本棚とにらめっこしていましたが、キラキラとしたクリスマスとはまた一味違った、でも色んな意味で美しいこんな絵本を紹介きせてもらおうと手を伸ばしました。

今日の絵本は、『しあわせなモミの木』です。

ある町に、おちついた建物の並ぶ美しい通りがありました。
そこは時の流れと共にお金持ちの人たちが住む通りとなっていきましたが、何故か1軒だけ長いこと空き家になっている家がありました。
そこに越してきたのが、クロケットさん。まるで森の妖精のおじいさんの様な風貌と、お金持ちの人たちには考えられない様な行動に、周りの人達は顔をしかめます。

そして冬になり、クロケットさんは花屋さんで、あるモミの木と出会いました。
そのモミの木は今にも枯れそうで売り物ではありませんでしたが、クロケットさんはこの木を連れ帰ることに決めます。

丁寧に水をやり、窓辺でお日様の光をたっぷりと与え、春になると家の前へ植えてやります。
そこには自然と鳥達が集まる様になり、クロケットさんの日課は、モミの木への水やりと小鳥達への餌やりになりました。
勿論、周りの人達は顔をしかめます。
でも子ども達は自然と、そんなクロケットさんに興味を持つ様になりました。

やがて四季は巡り、時は流れ、枯れかけていたモミの木は立派な木へ成長していきます。
そしてある冬のクリスマスイブに、美しい奇跡がおこるのです。

「見た目」だけで判断してしまいがちなことは、沢山あります。
でもそれはあくまで表面的なもので、本当に大切なのは「中身」であることがわかっていても...なかなか目に見えない「中身」を見抜くことは難しいです。

このお話のクロケットさんは、決して見た目だけで物事を判断しませんでした。
人に対しても、動物に対しても、いのちあるもの全てに平等に語りかけます。

誰もが見捨てたモミの木のいのちを信じ、丁寧に水をやり陽の光と優しい眼差しを与え続けます。

やがてモミの木は立派に成長し、美しい小鳥達が住み着く様になり、周りの大人はクロケットさんに何か秘密があるのだと思う様になります。
でも子ども達は知っています。クロケットさんの秘密が、ただただ毎日、モミの木の世話をし続けたことであることを。

日々の繰り返しは決して華美なものではないけれど、ひとつひとつ丁寧に過ごすことは、後に美しい奇跡を生むこともあることをこの絵本は教えてくれます。

子育ても同じだと感じます。
日々の暮らしを丁寧に、しっかりと子どもと向き合い、子どもを信じ、関わり合うこと。
特別なことは何もなくても、その積み重ねが子どもにいつか立派な羽を与えるのだと思います。

クロケットさんは、モミの木に起きた奇跡を目にして言います。

「わしに、ほんとうのクリスマスがきてくれた」

もしかしたら、それは奇跡でも何でもなく、それこそが本当のクリスマスだったのかもしれません。

信じてくれる人がいたモミの木は、本当に幸せだったと思います。
子どもがどんなモミの木であろうと、母親はクロケットさんの様でなければ...絵本を閉じてそっと、そう心に留めました。


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【141】『しあわせなモミの木』
シャーロット・ゾロトウ 文
ルース・ロビンス 絵
みらいなな 訳
童話屋 1991/11

この絵本、先日の関西蚤の市で出会ったものですが、その時は気付きませんでしたが帰ってよく見たら、訳者のみらいななさんのサインが入っていました。

古本にはたまにあることですが、サインや贈られた方の名前が入っていたりもします。

この絵本が誰かに読まれて、何らかの事情で手放され、今わたしの所に届いている。
これもひとつの縁なんだろうなぁと、改めて感じました。

大切に読んでいきたいと思います。


151212
ayumi◡̈⃝