『ゆっくりがいっぱい!』
『ゆっくりがいっぱい! 』
エリック・カール 作
くどうなおこ 訳
ジェーン・グドール まえがき
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現代に生きる私たちは、いつも何かに追われているかの様に忙しくしています。
仕事、子育て、趣味に遊びに...色々な面で忙しくすることに、どこか安心感を覚えている様にも感じます。
子育てをしていても、「ちょっとまって」と同じくらい、「早くして!」と言ってしまっている様にも思います。
正反対の言葉なのに、大人は矛盾していますね。
シルバーウィークも終わり、日常が戻り、忙しくしている人も多いと思います。
そんな時、ちょっとだけ立ち止まって「ゆっくり」眺めて欲しい絵本を、今日は紹介させて下さい。
今日の絵本は、『ゆっくりがいっぱい!』です。
ゆっくり
のんびり
おっとりと
ナマケモノくんは木の上で、ゆっくりゆっくり生活しています。
他の動物が忙しそうに通り過ぎながら、どうしてそんなにゆっくりなのか、なまけているのか、尋ねていきます。
ナマケモノくんは考えます。
考えて考えて、そうしてようやく答えます。
ナマケモノくんがなぜ、そんなにゆっくりのんびりおっとりなのか...。
「早くできる事」に、何故か人は賞賛を称えます。
子育てに関しても、子どもが何かを早くできる様になると親は安心し、少しゆっくりだと不安を覚えます。
歩くこと、喋ること、お箸を使えることやトイレトレーニング、文字を読むことなど...いつかはできる様になることでも、つい他の子よりゆっくりだと、「何でできないんだろう」「早くできる様になって」と思ってしまいます。
「他の子と違う」って、親にとっては確かに不安要素ですよね。
平均だと安心する。
早くできると嬉しくなる。
でも、ナマケモノくんも言っています。
「くつろいで しずかに やすらかに すごすのが すきなんだ
でも なまけてるんじゃないんだよ」
ゆっくりもまた、その子のペース。
なまけてるわけじゃない。
ゆっくり のんびり。
じっくり おだやか ふんわり ゆらゆら。
バタバタしているな。焦ってるな。
「何でできないの」って言っちゃったな。
そんな日に、是非ゆっくり読んでみて欲しい1冊です。
エリック・カールの見事な色彩と、沢山出てくる動物達もこの絵本の魅力です。
最後のページには絵本に出て来た動物一覧が載っているので、どの動物がどこにいるのか探しながら読んでも楽しいと思います。
「それが ぼくの やりかたさ
ゆっくり のんびり おっとりが すきなのさ」
日々の慌ただしさに少し疲れた時に、ナマケモノくんの言葉を思い出したいです。
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【68】『ゆっくりが いっぱい!』
エリック・カール 作・絵
くどうなおこ 訳
ジェーン・グドール まえがき
偕成社 2003/09
我が家の息子もナマケモノくんと同じく、ゆっくりマイペースです。
立っちするのは普通でしたが、1歳を過ぎても歩き出す事はなく、お喋りも2歳を迎えてようやくできる様になったものの、それまでは単語が少し程度。
未だにジャンプもできないし笑 スプーンも気まぐれで手で食べるのが大好き。
わたしは成長はマイペースでもいいと思っていますが、言葉に関しては、「絵本を沢山読み聞かせているから早いでしょうね」と言われる事もありました。
ですが、先程も書きましたが息子がお喋りをし出したのは2歳を過ぎてから。
それまではわんわんやまんま程度で、2語文も殆ど話せませんでした。
絵本を読み聞かせていると、言葉を沢山覚えたり、文字を早く覚えたりというメリットがあると思われがちです。
勿論そういう子もいると思います。
絵本には沢山の素敵な言葉が詰まっているので、それをシャワーの様に浴びた子どもはやっぱり言葉の蓄積はあると思います。
ですが、その為に絵本を読み聞かせるのはやっぱり少し違うと思います。
あくまでも絵本は親子のコミュニケーションツールであり、親子で楽しむもの。
メリットは副産物であって欲しいと思います。
沢山の親子が、ゆっくりのんびり、絵本を楽しむ時間が増えます様に。
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思いの外長居した実感ともお別れし、只今京都に戻っています。
新幹線2時間の長旅。
息子がお利口にしていてくれる事を祈ります。笑
150930
ayumi◡̈⃝