さんじのえほん。

3時のおやつみたいに、絵本が日々のちょっとした幸せに⋆* 駆け出しの絵本講師、1日1冊絵本を紹介しています◡̈

『10人のゆかいなひっこし』

 

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10人のゆかいなひっこし (美しい数学 (1)) 』

 
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わたしはとにかく昔から、算数、数学が苦手でした。
 
分数で躓いた小学時代、マイナスって何?の中学時代、最終的に参考書と問題集を数字ごと丸暗記してテストに臨んでいた高校時代...。笑
 
おかげで今でも数字の計算は苦手です。
お釣りの計算を諦め、いつも小銭がいっぱいです。笑
 
そもそも何でこんなに数学が苦手なんだろう?そう考えた時に、わたしは今まで数の楽しさ、数字の楽しさに触れて来ていない事に気付きました。
 
数字と言えば、学校のプリントを思い出す。
計算と言えば、ドリルを思い出す。
楽しい思い出はちっともありません。
 
そうして大人になり、わたしは絵本を通して数の楽しさを知りました。
安野光雅さんとの出会いです。
 
数字ってこんなに綺麗なんだ。
数ってこんなに楽しいんだ。
 
それは勉強として学ぶのではなく、初めて数学を楽しんだ瞬間でした。
 
幼い頃こんな絵本に出会えてたら、わたしの悲惨な数学人生は少しは変わっていたかもしれません。笑
 
そんな安野光雅さんの数学絵本でも、わたしが特に好きな絵本を今日は紹介させて下さい。
 
今日の絵本は、『10人のゆかいなひっこし』です。
 
この絵本に文字は殆どありません。
最初のページにこの絵本がどんな絵本なのか簡単な解説がついていますが、わたしはここは敢えて読まなくてもいいと思います。
 
絵本の左のページには、ある家の断面図。
そこには可愛らしい10人の子ども達がいます。
 
右のページは、また別の家の外観が。窓がいくつかあいている仕掛けもあります。
10人はこの家へ引っ越すのです。
 
ページを捲ると、今度は左のページの家の外観と、右のページの家の断面図。
あ、右の家に1人子どもが引っ越してる!
ということは、今左の家にいるのは、何人?
 
ページを捲る毎に、子どもが1人ずつ隣の家へ引っ越します。
 
10人いた内の何人が左の家にいて、残り何人が右の家にいるのか。
文字での説明は一切ありません。
あるのは、家の断面図と開いた窓。これが、ちょっとしたヒントです。
 
窓が本当にページをくり抜いてある仕掛けなのが、上手いと思います。
仕掛けがあると、子どもは興味を示します。
この窓の向こうにいるのは何人だろう?自然と考えるきっかけになります。
 
大人が教えなくとも、子どもは自然と数の概念を理解できる。
とても優れた絵本だと思います。
 
ですが、あくまで絵本。
数を教えるための教材ではありません。
 
子どもが興味を示せば、一緒に数を数えたり、こっちが何人ならあっちは何人?とお話しながら読むのも楽しいです。
 
でもこの絵本は、眺めてるだけでも面白いのです。
 
1人ずつ引っ越す度に、部屋の荷物も移動していきます。
子ども達はみんな個性的で、この子はどんな子なんだろう?どの部屋に住むのかな?どの子と仲良しなのかな?そんな風に想像しながら見るのもとっても楽しい。
 
安野さんの絵は細かく綺麗で、大人が見ても楽しめます。
 
確かに、数の概念を自然と教えてくれるとても良い絵本です。
ですが、無理にこの絵本を使って子どもに教え込む必要は全くありません。
 
あくまでも絵本は楽しむもの。
楽しみながら自然と数の概念が身につくのが1番です。
この絵本を読んで、全く数に興味を示さなかったとしても、それはそれでありだと思います。
数以外の楽しみも、この絵本には沢山詰まっているからです。
 
文字がないからこそ、楽しみ方は広がります。
親子で会話をしながら、広がる世界を楽しんで下さい。
 
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【43】『10人のゆかいなひっこし』
童話屋 1981/10
 
安野さんは、数学に関する絵本も沢山手がけられています。
今はそれらが『はじめてであう数学の本』として3冊にまとめられていますが、これもまた素敵な絵本です。
 
子どもが数字の世界、数学の世界に興味を持つきっかけにもなると思いますし、あくまで絵本なのでファンタジーの要素もあり、色々な方向で楽しめると思います。
 
よく、絵本を読めば賢い子になる、言葉や文字を早く覚えると言われます。
確かにその様なメリットもあるかもしれません。
でも読み聞かせの目的がそれになってしまっては、本末転倒です。
 
文字を覚えさせる為に絵本を読むわけではないし、頭を良くする為に絵本を読むわけでもありません。
 
この絵本もそうですが、数の概念を教えるために読むのは少し違うと思います。
 
解説にも、以下の様にあります。
 
「数を教える本だといって、おとなが無理に何かを教えようとするのはよくありません。自分の力でものを考え、自分の力でこの本の中の数のしくみをつかみとってもらえば、それがいちばん理想的なのだが......と思っています。」(本文より抜粋)
 
あくまで理想です。
この本を読んだからと言って、数の仕組みが絶対に理解できるかと言えばそうではありません。
 
でも子ども達に、数って面白いんだよ、そう自然と語りかけてくれる絵本です。
わたしが幼い頃にこの様な本に出会いたかったと言ったのも、そうやって自然と数の楽しさを実感させてくれる出会いがあれば、数学にも興味を持てたかもしれない...と思うからです。
 
興味を持ち、自ら考える事が学びの根本です。
絵本は学びを押し付けるものではなく、興味を引き出すチャンスをくれるものです。
 
楽しみながら、沢山の事を学ぶ。
あくまでも理想です。
でも学びの根本はそうあるべきだと、わたしは思います。
 
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今日から地元の母が、妹の引越し準備の手伝いにこちらに来ています。
 
引越し準備をしたり、主人の実家に行ったり、何だかバタバタです(´◡`;)
 
 
150905
ayumi◡̈⃝