さんじのえほん。

3時のおやつみたいに、絵本が日々のちょっとした幸せに⋆* 2児の子育てをしながら絵本や子育てにまつわるあれこれをお話しています。マイホームは絵本ハウス。絵本に囲まれた暮らしを親子で楽しんでいます◡̈京都在住。絵本講師✎

『いやだいやだ』

 

 

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いやだいやだ (いやだいやだの絵本 3) 』

せなけいこ

 

........................✍

 

我が家の息子は、先日2歳になりました。

 

2歳と言えば、よく言われるのが魔の2歳児。

 

息子は今まであまり酷いイヤイヤはありませんでしたが、2歳になった途端、イヤイヤらしきものが始まりました。

 

「あぁ、これが魔の2歳児か」

 

きっとこの時期を経験されたお母さんは、誰もがそう思ったでしょうね。

 

さぁ、これからどう格闘していこうか。

そんな風に思った今日、紹介するのはこの絵本です。

 

せなけいこさんの代表作。

読んだ事はなくても、表紙は見た事あるという方も少なくないと思います。

 

女の子が「いやだいやだ」と怒っている表紙は、なかなかインパクトがあります。

 

インパクトがあるのは、表紙だけではありません。

 

表紙の女の子、ルルちゃんは、なんでもすぐにいやだと言います。

正に、イヤイヤ期そのものです。

 

そしたらお母さんも、いやだって言い出します。

だっこだってしない。

 

お空のお日様もいやだと言って、雨を降らします。

 

おやつだって、大事なくまちゃんだって、いやだいやだ。

 

そうしたらルルちゃんはどうするの?

 

絵本は、これでおしまい。

 

疑問系で終わる絵本。

読んでる子ども達は、もしかしたら「えっ?」となるかもしれません。

 

せなさんのお話は、決して子どもに媚びていません。

それはよく、シュールな世界観とも言われます。

このお話も、賛否両論あると思います。

 

わたしも正直、この絵本は「良い絵本」なのかどうか、悩みました。

子どもにとって否定される事は何より辛いことです。

果たしてイヤイヤをこの様な形で子どもに伝えてもいいものなのか。

 

でも、もしこの絵本のラストが、「だからいやだって言わない様にしようね」という様な類のものであれば、わたしはまず「違うな」と感じたと思います。

 

それこそが子どもへの「押し付け」であるし、正に絵本が「しつけの為のもの」になってしまうからです。

 

せなさんが敢えてラストを疑問系にした事で、これはひとつの文学として成り立ったのだと思いました。

 

ラストのルルちゃんは、泣きべそで指をくわえています。

みんなにいやだいやだと言われて、悲しくなったのでしょうね。

 

そんなルルちゃんの気持ちを、きっと読んでる子どもは想像すると思います。

 

ルルちゃんは、みんなにいやだって言われてかわいそうだな。

悲しくなっちゃったんだな。

同じ様に、悲しい気持ちになるかもしれません。

 

いやだって言われて悲しいのは、みんな同じ。

お母さんだって、おやつだって、くまちゃんだって、いやだって言われたら悲しいよね。

 

そしたら自分は、どうしよう?

 

......ここまで考えられる子どもは、なかなかいないでしょうね。

 

でもそれでいいのだと思います。

 

いやだいやだって言うルルちゃんは、自分と似てるなぁ。

 

それだけでいいと思います。

 

お気に入りのおもちゃにいやだって言われたら、悲しいなぁ。

 

それでもいいと思います。

 

お母さんに抱っこしてもらえなかったら、もっと悲しいなぁ。

 

そう子どもが思ったら、お母さんが思いっきり抱っこしてあげればいいのです。

 

どう感じるか、どう捉えるかは、子どもの自由。

せなさんは、その自由への余白をしっかりと残してくれているのだと思います。

 

この絵本は決して、しつけの為の絵本ではないと思います。

 

せなさんは1人の母親として、絵本を描き始めました。

自分の子ども、あるいは孫を見てそのまま絵本にしてきたそうです。

ルルちゃんはどこにでもいる子どもです。

 

「こうなっちゃうから、こうしなさい」という様な押し付けは、せなさんの絵本には一切ありません。

なのでこの絵本を読む大人も、「だからいやだって言わない様にしようね」とは言わないで欲しいと思います。

 

もし子どもが何か言って来たら、それについてお母さんが思った事を答えてあげたらいい。

そうでなければ、読みっぱなしでいいと思います。

 

せなさんの絵本には想像する余白が沢山あるし、そこを存分に楽しむ力が、子どもにも備わってると思うのです。

 

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【4】『いやだいやだ』

せなけいこ

福音館書店 1969/11

 

絵本には対象年齢がよく書かれてありますが、わたしは基本的にはそこは重要視しなくてもいいと思っています。

 

勿論ある程度の参考にはなりますが、絶対その年齢を守らなければならないというものではないと考えています。

 

例えば対象年齢4歳からと書かれてあっても、子どもが楽しめるなら3歳から読んでもいいと思うし、逆に0歳からという絵本を小学生が読むのもありだと思います。

 

ただ、気をつけたいのは、「その絵本の内容が今の子どもの時期に合っているかどうか」という事です。

 

『いやだいやだ』も基本的には何歳でもいいと思いますが、正に「いやだ」と言って親から怒られたばかりの子どもにすぐに読んだりするのはどうなのかな、と思います。

 

子どものその時の感情や立場、成長過程を踏まえて、まずは大人が内容をしっかりと理解し、適切な時期に適切な絵本を与えてあげたいですね。

 

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今日は正に、イヤイヤ絶頂の日でした。

 

子どもの成長の証だと思う反面、これから恐ろしいなぁという思いもあったり。笑

 

いやだいやだと言われたら、お母さんはどうするの?

 

それをこれからしっかりと考えていかなきゃいけないなと、改めて思いました。

 

 

150729

ayumi◡̈⃝